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金沢大学 研究Discovery Saga
2026年6月18日

ナノ構造のバンド構造可視化に成功

―不完全な周期構造をもつ材料や「曲がった系」に 電子バンドの概念を拡張―ナノマテリアル研究所、助教 山口 直也  YAMAGUCHI, Naoya

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
有限サイズの巨大分子モデルに対する第一原理計算から非周期的なナノ材料の電子状態をバンド構造として可視化する新しい計算手法を開発
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
数物系科学化学総合理工工学医歯薬学
【Sagaキーワード】
バンド構造/ビスマス/対称性/周期性/ナノマテリアル/カルコゲナイド/タングステン/遷移金属/遷移金属ダイカルコゲナイド/理論解析/電子構造/電子状態/グラフェン/スピン/スピントロニクス/ナノメートル/ナノ構造/ナノ材料/第一原理/第一原理計算/分解能/高分解能/ゆらぎ/不均一性
2026/6/18

概要

金沢大学ナノマテリアル研究所の山口直也助教、石井史之教授、台湾・淡江大学の李啟正准教授、東京大学の尾崎泰助教授らの国際共同研究グループは、有限サイズの巨大分子モデルに対する第一原理計算から非周期的なナノ材料(※1)の電子状態(※2)をバンド(※3)構造として可視化する新しい計算手法を開発しました。
 ナノ材料は、特異な電子状態を持ち、新機能創出が期待される材料群として世界的に注目されています。ナノ材料の電子状態解析技術の発展により実験的観察は進んだ一方で、従来の第一原理計算(※4)では、並進対称性(※5)を欠くナノ構造に対しては解析が難しい場合が多く、理論的解析基盤が十分に整備されていませんでした。
 本研究では、従来のバンドアンフォールディング(※6)法を拡張することで有限ナノ構造を扱える形式に再定式化し、計算プログラムとして実現しました。一連の計算手続きを「巨大分子バンドアンフォールディング法(GMBU法)」として位置づけ、グラフェン、遷移金属ダイカルコゲナイド(二硫化タングステン(WS₂))、ビスマス/銀表面合金のナノフレークに適用しました。その結果、数ナノメートルスケールの有限モデルでも明瞭な電子バンド構造の可視化に成功しました。さらに湾曲構造にも適用可能であることを確認し、ナノ材料の電子構造解析における汎用的解析基盤としての有用性を示しました。
 GMBU法は並進対称性が完全には成り立たない場合や、材料中に空間的な不均一性・ゆらぎが存在する場合でも、材料が局所的な周期性を有していれば大規模第一原理計算と統合することで、バンド理論の観点から電子構造を解析できる柔軟な計算手法であり、今後の広範な展開が期待されます。
 本研究の成果は、高分解能化が進むナノARPESによる実験観測と理論解析の連携を促し、次世代のエレクトロニクスやスピントロニクス材料の設計の高度化に寄与することが期待されます。
 本研究成果は、2025年12月10日午前8時(米国東部標準時)に米国科学誌『Nano Letters』のオンライン版に掲載されました。また、本誌の表紙(Supplementary Cover)に採用されています。

研究詳細

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