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国立がん研究センター 研究Discovery Saga
2026年6月4日

「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」をより伝わりやすく刷新 お酒と体重のがんリスク上昇に伴い予防法も変更飲酒は「節酒」から「ひかえる」、男性BMIの推奨上限は25へ

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学複合領域環境学工学医歯薬学
【Sagaキーワード】
データ統合/情報サービス/がん研究/がん検診/身体活動/環境リスク/生活様式/情報提供/リスク評価/予防接種/寿命/日常生活/コホート/疫学/疫学研究/感染症/健康寿命/公衆衛生/社会医学/食生活/放射線

2026年6月3日
国立研究開発法人国立がん研究センター

発表のポイント

国立がん研究センターを中心とした研究班は、日本人のためのがん予防法を提唱し、がんになるリスクを減らすことができる、たばこ、お酒、食生活、身体活動、体重と感染の6つの要因に対する対策を「科学的根拠に基づくがん予防法5+(プラス)1」としてまとめています。
国民の皆さまにがんの予防法を実践いただけるよう、がん情報サービス編集委員会や患者・市民パネルの皆さまと連携し、文章やイラストをより伝わりやすくし、ウェブページと冊子を刷新しました。
また、研究班でのお酒と体重に関するリスク評価の更新に伴い、その対応策も変更しました。
お酒については、少量の飲酒でもがんのリスクが上昇することが示されたことから、推奨の対策を「節酒する」から「飲酒をひかえる」に変更しました。
体重については、BMI(太りすぎ・やせすぎを判断する指標)が高くなるほどリスクが段階的に上昇するがんがあることを踏まえ、男性でのBMIの推奨上限を27から25に変更しました。

概要

 国立研究開発法人国立がん研究センター(所在地:東京都中央区、理事長:間野博行)がん対策研究所(所長:松岡豊)を中心とした研究チーム「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」班(班長:和田恵子、以下「がん予防研究班」という。)は、科学的根拠に基づいて日本人に最適ながん予防法を提唱するための研究に取り組んでおり、日本人における最新のエビデンスに基づき、がんのリスク要因を継続的に評価し、がん予防法を更新しています。さらに、研究で得られた知見の中で特に確実性が高く、実践しやすい、たばこ、お酒、食生活、身体活動、体重と感染症の6つの要因に対する対策を「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」として位置づけ、情報普及に取り組んでいます。
 この度、「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」を、がん予防研究班による最新のリスク評価結果と、病気の予防や健康づくりに関する国の方針に基づいて更新し、また国民の皆さまに取り組んでいただけるよう、がん情報サービス編集委員会や患者・市民パネルの皆さまと連携し、文章やイラストをより伝わりやすくし、ウェブページと冊子を刷新しました。

背景

 日本人の2人に1人は、一生のうちに一度はがんを経験すると推計されています。がんの発生には、遺伝的な体質や環境など、個人では変えられない要因に加えて、生活習慣が関わるものがあることが分かっており、第4期がん対策推進基本計画の3つの柱の1として「科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実」が明示されています。がんになるリスクを減らすためには、がんのリスク要因となる生活習慣の見直しが重要です。
 がんのリスク要因については、国際的な専門機関であるInternational Agency for Research on Cancer (IARC) やWorld Cancer Research Fund (WCRF)、American Institute for Cancer Research(AICR)などが科学的根拠に基づき評価を行っています。しかし、これらの評価は主に欧米人を対象としたエビデンスに基づいており、日本人にそのまま適応できるかは明らかではありません。
 日本人の食文化、生活様式、体格などの特性を踏まえた、より適切ながん予防法を明らかにすることが求められています。

「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」について

 がん予防研究班は、国内の疫学、公衆衛生学の研究者が協力し、日本人におけるがんのリスク要因に関するエビデンスを体系的に収集・評価しています。さらに、特定されたリスク要因によって発生していると考えられるがんがどのくらいの割合を占めるかについても推計を行っています。エビデンスが十分でない領域については、複数の疫学研究のデータを統合し、新たなエビデンスを創出する取り組みも進めています。こうした継続的な活動を通じて、科学的根拠に基づいた日本人に最適ながん予防法を更新しています。
 研究で得られた知見の中で、特に確実性が高く実践しやすい、たばこ、お酒、食生活、身体活動、体重と感染症の6つの要因に対する対策を「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」として位置づけており、がん予防研究班による最新のリスク評価結果を中心に、病気の予防や健康づくりに関する国の方針に基づいて内容を更新しています。

「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」リスク要因別の推奨


たばこ

たばこは吸わない
他人のたばこの煙を避ける

お酒

飲酒をひかえる

食生活

減塩する
野菜と果物不足にならないようにする
熱い飲み物や食べ物は冷ましてからとる

身体活動

日常生活を活動的に過ごす

体重

体重(BMI)は適切な範囲内にする

感染

感染の検査や予防接種を受ける



 感染については、がんの発生に直接関係することが明らかであるため、感染しやすい年齢や状況、そして感染経路を正しく理解し、予防接種や適切な治療を受けることが推奨されています。また、最近のリスク要因別の推奨では、お酒は「節酒する」から「飲酒をひかえる」へと変更されました。少量の飲酒でもがんのリスクが上昇することが示されており、がん予防の観点からは“ほどほど”ではなく“飲まないことがベスト”とされるためです。体重についても、BMIが高くなるほどリスクが段階的に上昇するがんがあることを踏まえ、男女ともにBMI21~25の範囲を推奨(変更前は、男性:BMI21~27、女性:BMI21~25)するよう見直しました。

がんの予防法を実践いただけるよう、伝わりやすい表現に刷新

 がん予防研究班ではこれまで、がん予防に関する冊子を独自に作成し、情報普及に取り組んできました。しかし、限られた体制で継続的に最新情報を提供することには課題があり、必ずしも効率的とはいえませんでした。そこで今回、国立がん研究センターが運営するウェブサイトである「がん情報サービス」と連携し、最新の情報冊子「がんの冊子 がんを知るシリーズ 科学的根拠に基づくがん予防法5+1 第3版」を作成、ウェブページにも同様の内容を掲載しました。
 がん情報サービスは、がんに関する信頼できる情報を提供し、患者・家族・市民の意思決定を支援することを目的に運営されています。がん情報サービス上の情報は、専門家・患者・市民等多くの人の確認を受け、公開されています。本冊子の作成にあたっても、国民の皆さまに伝わりやすく、実践しやすい内容となるよう、がん情報サービス編集委員会、患者・市民パネルの皆さまにご協力いただき、細かな文章やイラストについて検討と修正を重ねました。

今後の取り組み

 日本人の生活習慣や食文化に即した科学的根拠を整備することは、国民の健康寿命の延伸に向けて極めて重要です。そのため、がん予防研究班は、日本人における最新のエビデンスを体系的に収集・評価する取り組みを、これまで以上に効率的かつ継続的に実施できるよう、体制の強化を進めていきます。また、大規模疫学研究の連携やデータ統合の推進など、研究基盤のさらなる充実にも取り組みます。
 そして、実践につながる重要な情報については、国民の皆さまにいち早く届けられるよう、国立がん研究センターが運営する「がん情報サービス」と連携し、科学的根拠に基づくがん予防情報を、日常生活で活かしていただけるよう発信してまいります。

研究班の構成

科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究

研究代表者

和田 恵子国立がん研究センターがん対策研究所予防研究部 

分担研究者

井上 真奈美 聖路加国際大学公衆衛生学研究科
尾瀬 功 愛知県がんセンター研究所 がん情報・対策研究分野
寳澤 篤 東北大学大学院医学系研究科/東北メディカル・メガバンク機構
澤田 典絵国立がん研究センターがん対策研究所 コホート研究部
木村 尚史国立環境研究所環境リスク・健康領域
林 櫻松 愛知医科大学医学部 公衆衛生学講座
伊藤 秀美愛知県がんセンター研究所 がん情報・対策研究分野
北村 哲久大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学
歌田 真依公益財団法人放射線影響研究所 疫学部
小柳 友理子愛知県がんセンター研究所 がん予防研究分野
齋藤 英子東京大学大学院新領域創成科学研究科サステイナブル社会デザインセンター
野村 周平東北大学災害科学国際研究所 災害医学研究部門グローバルヘルス政策学分野
田中 詩織国立がん研究センターがん対策研究所 予防研究部
平林 万葉国立がん研究センターがん対策研究所 予防研究部

研究費

研究費名(支援先):国立がん研究センター研究開発費
分野名:社会医学分野
研究課題名:科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究
研究代表者名:和田 恵子

参考情報

科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究(外部サイトにリンクします)
がん情報サービス「科学的根拠に基づくがん予防法」(外部サイトにリンクします)
がん情報サービス がんの冊子「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」(外部サイトにリンクします)
がん情報サービス「がんの冊子」(外部サイトにリンクします)

問い合わせ先

研究に関するお問い合わせ

国立研究開発法人国立がん研究センター
がん対策研究所 予防研究部
ダイヤルイン:03-3547-5201(内線 3339)
Eメール:canprev●ml.res.ncc.go.jp

がん情報サービスに関するお問い合わせ

国立研究開発法人国立がん研究センター
がん対策研究所 がん情報提供部
ダイヤルイン:03-3547-5201(内線 1610)
Eメール:ganjoho-admin-contact●ncc.go.jp

広報窓口

国立研究開発法人国立がん研究センター
企画戦略局広報企画室広報企画係
ダイヤルイン:03-3547-5201(内線3548)
Eメール:ncc-admin●ncc.go.jp

関連ファイル

「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」をより伝わりやすく刷新 お酒と体重のがんリスク上昇に伴い予防法も変更 飲酒は「節酒」から「ひかえる」、男性BMIの推奨上限は25へ(PDF:322KB)


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