西部北太平洋で粒子状チオールの広域分布を初めて解明
理工研究域物質化学系、准教授 国宏 WONG, Kuo Hong
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
金属元素/珪藻/生物地球化学/海洋/バクテリア/地球化学/北太平洋/シアノバクテリア/システイン/環境ストレス/環境応答/プランクトン/植物プランクトン/微量金属/化学形態/グルタチオン/チオール/抗酸化/ストレス
Research NEWS
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2026/6/3
概要
金沢大学理工研究域物質化学系の黄国宏准教授、長谷川浩教授、眞塩麻彩実准教授、東京大学大気海洋研究所の小畑元教授、長崎大学水産・環境科学総合研究科の近藤能子准教授らの共同研究グループは、西部北太平洋における粒子状チオール(システイン・グルタチオン)(※1)の広域分布を初めて明らかにするとともにその主要供給源が海洋の植物プランクトンであることを明らかにしました。本研究では、国際 GEOTRACES プログラムの一環として設定された GEOTRACES GP22 トランセクト(※2)で採取された海水サンプルを用い、粒子状チオールの詳細な分析を行うとともに、海洋性シアノバクテリアSynechococcus および珪藻Thalassiosira nordenskioeldii の室内培養実験を組み合わせることで、海洋中に存在する粒子状チオールの起源と分布特性を多角的に明らかにしたものです。
解析の結果、海域ごとのチオール濃度の違いが水塊特性・植物プランクトン組成・環境ストレスにより大きく左右されることが明らかになりました。特に、貧栄養で透明度の高い亜熱帯域の北太平洋中央水塊(NPCW)では、通常の生理生産だけでは説明できない高濃度のグルタチオンが検出され、死滅した植物プランクトン由来の懸濁粒子にグルタチオンが保持される“事前形成(preformed)型”グルタチオンの寄与が大きい可能性を見いだしました。
これらの結果は、粒子状チオールが海洋中における微量金属の化学形態やプランクトンの環境応答と密接に関わることを示しており、海洋における有機硫黄化合物の循環理解に向けた重要な手がかりとなります。
本研究成果は、2025 年 12 月 15 日(欧州時間)に国際学術誌『Science of the Total Environment』に掲載されました。
金沢大学 研究