
京都大学 研究
Discovery Saga
2026年5月28日
キナーゼをリン酸標識化剤として用いたタンパク質高次構造変化の大規模計測法を開発
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
 | | タンパク質の構造ダイナミクスの理解を深めるとともに、創薬標的の探索や疾患メカニズムの解明に貢献することが期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日
概要
タンパク質の高次構造は、その機能と密接に関連しています。細胞内でタンパク質は他のタンパク質や核酸との相互作用、翻訳後修飾などを通じて絶えず構造変化を起こしており、これらの構造ダイナミクスがシグナル伝達や細胞機能の制御に重要な役割を果たしています。このため、細胞内プロテオームの構造変化を網羅的に解析する「構造プロテオミクス」は、生命象の分子基盤を理解する上で不可欠です。しかし、従来のタンパク質構造プロテオミクス手法では、標識ペプチドの不均一性や標識化されたペプチドの検出感度の低さがプロテオーム規模の解析の障壁となっていました。
前田朝登 薬学研究科博士後期課程学生、小形公亮 同助教、石濱泰 同教授の研究グループは、タンパク質リン酸化酵素(キナーゼ)による
in vitroリン酸化反応を利用して、タンパク質の高次構造変化をプロテオーム規模で検出する新手法「リン酸プローブ法」を開発しました。本研究では、キナーゼの基質認識による部位特異的なリン酸化と、リン酸化ペプチド濃縮技術を組み合わせることで、タンパク質の構造変化を残基レベルで高感度かつ網羅的に検出することを可能にしました。HEK293T細胞由来のプロテオーム試料に本手法を適用し、RNA消化に伴うRNA結合タンパク質の構造変化を300以上のチロシンリン酸化部位で検出することに成功しました。
本成果は、タンパク質の構造ダイナミクスの理解を深めるとともに、創薬標的の探索や疾患メカニズムの解明に貢献することが期待されます。
本研究成果は、2026年5月27日に、国際学術誌「Cell Reports Methods」にオンライン掲載されました。
画像

リン酸標識法の概要。基質タンパク質構造の違いはキナーゼのアクセス性を変えるため、キナーゼの反応効率の差を評価することで基質タンパク質の構造変化の検出が可能になる。
🄫京都大学 作成:前田朝登 京都大学大学院薬学研究科生体分子計測学分野
詳しい研究内容について
キナーゼをリン酸標識化剤として用いたタンパク質高次構造変化の大規模計測法を開発
研究者情報
研究者名
Asato Maeda
ORCID
研究者名
石濱 泰
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名
小形 公亮
京都大学 教育研究活動データベース
関連部局
薬学部・薬学研究科