強度と延性に優れたFCC純コバルトを創製
―結晶粒微細化による相安定性の制御―
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】

概要
材料工学専攻 鈴村 拓未 特定研究員、高 斯 同准教授、吉田 周平 同助教、辻 伸泰 同教授らの研究グループは、高温で安定な結晶構造を室温でも多量に残留させることで、多結晶純コバルトの室温での強度(強さ)と延性(ねばさ)を大きく向上させることに成功しました。純コバルトは、室温では六方最密(HCP)構造が安定であり、一般に延性に乏しい金属です。一方、多結晶純コバルトでは、高温で安定な面心立方(FCC)構造が室温でも少量残留します。本研究では、純コバルトの平均結晶粒径を1μm以下まで超微細化し、室温でのFCC相分率を89%まで増加させました。その結果、超微細粒FCCコバルトは粗大粒HCPコバルトよりも優れた引張強度と伸びを示しました。引張変形中のその場X線回折測定と変形組織解析により、この高い延性は、変形中にFCCからHCPへの相変態が促進されたことに加え、粗大なHCP粒に起因する破壊が抑制されたことによるものと判明しました。本成果は、コバルトの応用可能性を広げるとともに、コバルト合金の高性能化に向けた組織設計に重要な指針を与えるものです。
本研究成果は、2026年4月16日に国際学術誌「Acta Materialia」にオンライン掲載されました。
研究詳細
強度と延性に優れたFCC純コバルトを創製 ―結晶粒微細化による相安定性の制御―
研究者情報
鈴村 拓未京都大学教育研究活動データベース高 斯 京都大学教育研究活動データベース
吉田 周平京都大学教育研究活動データベース
辻伸泰京都大学教育研究活動データベース
論文情報
| タイトル |
Ultra-grain refinement creates FCC pure cobalt with high strength and high ductility(結晶粒超微細化による高強度と高延性を両立したFCC純コバルトの創製) |
|---|---|
| 著者 |
Takumi Suzumura (鈴村 拓未:京都大学 特定研究員), Si Gao(高 斯:京都大学 准教授), Shuhei Yoshida(吉田 周平:京都大学 助教), Rohan Dhall(ローレンス・バークレー国立研究所 Molecular Foundry/NCEM Principal Scientific Engineering Associate), Andrew M. Minor(カリフォルニア大学バークレー校 教授 兼 ローレンス・バークレー国立研究所 Molecular Foundry/NCEM施設長), Nobuhiro Tsuji(辻 伸泰:京都大学 教授) |
| 掲載誌 |
Acta Materialia |
| DOI | 10.1016/j.actamat.2026.122245 |
| KURENAI |
http://hdl.handle.net/2433/301025 |
京都大学 研究