
並進対称性が“元に戻せなくなる”新現象を発見
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | 対称性の概念そのものを拡張し、量子情報における新奇な対称性構造の理解に貢献することが期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
この研究の主な対象者企業・研究者の方
公開日
概要
物理学における対称性とは、ある操作を行っても系の性質が変わらないことを指します。例えば、同じものが一直線に並んでいる場合、全体を1つ横にずらしても同じ状態になります。このような性質を「並進対称性」と呼びます。大石翼 理学研究科博士後期課程学生、齊藤巧磨 同博士後期課程学生、戎弘実 理化学研究所研究員らの研究グループは、内部対称性と並進対称性の組み合わせによって生じるLieb–Schultz–Mattis(LSM)制約を持つ任意の次元の系において、ゲージ化と呼ばれる大域的な対称性を局所的なものへ変換する操作を行うと、並進対称性そのものが非可逆な対称性へと変化することを明らかにしました。
通常、対称性の操作には「元に戻す操作(逆操作)」を持ちます。例えば、右に1マスずらした操作は、左に1マス戻すことで元に戻ります。しかし本研究で見出された非可逆対称性では、単純な逆操作が存在せず、操作を重ねると複数の状態が混ざるという性質を持つことが分かりました。本研究は、対称性の概念そのものを拡張し、量子情報における新奇な対称性構造の理解に貢献することが期待されます。
本研究成果は、2026年5月21日に、国際学術誌「Physical Review B」にオンライン掲載されました。

研究者のコメント
「本研究では、並進対称性という最も基本的な対称性が、条件によっては『元に戻せない』性質を持つことを示しました。これは対称性に対する従来の理解を拡張する結果であり、量子多体系の新しい見方につながると期待されます。」
京都大学 研究