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富山大学 研究Discovery Saga
2026年5月22日

後肢虚血再灌流後のラット脊髄後角における神経活動の変化の 解明:「痺れ」のメカニズム解明を目指して

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
糖尿病性・化学療法誘発性ニューロパチーの研究やその治療薬の創製に貢献できることが期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
生物学総合生物農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
神経系/神経活動/細胞応答/ニューロン/mRNA/ラット/虚血/神経細胞/転写因子/電気生理学/薬理学/ストレス/遺伝子/化学療法/生理学/糖尿病

発表のポイント

ラット後肢の虚血再灌流により、ヒトの痺れ・違和感に類似した「感覚異常動作(舐め動作)」が再現できることを確認しました。
脊髄*1後角ニューロンの活動が二方向性に変化することを明確に示すことが出来ました。
虚血再灌流後の脊髄ではEgr1*2、Egr3*3、Fos*4のmRNAが脊髄で上昇し、虚血再灌流が中枢レベルで変化を引き起こしていることを示しました。
以上より、in vivo電気生理学的*5解析では痛みや痒みだけでなく、「痺れ・鈍麻」といった感覚低下も評価できる新しいモデルとして、糖尿病性・化学療法誘発性ニューロパチーの研究やその治療薬の創製に貢献できることが期待されます。



発表概要

富山大学学術研究部薬学・和漢系 応用薬理学研究室の歌大介准教授、旭化成セラピューティクス株式会社の研究グループは、ラット後肢をゴムバンドで縛り、その後開放する、虚血再灌流を行うことで、ヒトの痺れや違和感に類似した感覚異常を再現し、その脊髄メカニズムの一端を明らかにしました。虚血再灌流後には舐め動作が顕著に増加し、感覚異常の発生を示しました。さらに脊髄後角ニューロンのin vivo細胞外記録により、自発発火頻度の増加・減少、弱い刺激での過敏化、強い刺激での鈍麻など、多様な“二方向性”の神経応答が観察されました。加えて、Egr1・Egr3・Fos などのmRNAが脊髄で上昇し、中枢レベルの神経変化が生じることを確認しました。本研究成果は、痛み・痒みだけでなく“しびれ・鈍麻”といった感覚低下も評価でき、糖尿病性・化学療法誘発性ニューロパチーの研究に有用な新たな評価系となることが期待されます。
本研究成果は、国際学術誌「International Journal of Molecular Sciences」に 2026 年 5月 10 日(日本時間)に掲載されました。

用語解説

※1)脊髄
末梢(皮膚、筋、骨、各種臓器、粘膜など)で受け取った情報(触覚、圧覚、痛覚、 温度覚)が最初に入力する中枢領域です。感覚や運動の情報を伝達する重要な経路であり、痛み信号の中継点でもあります。
※2)Egr1
脳や脊髄のニューロンが興奮したりストレスを受けたりすると、最初に急上昇する“即時早期遺伝子”の代表格として知られる生体反応のマーカの一つです。
※3)Egr3
神経活動や細胞応答に伴って発現が変化する転写因子の一つで、神経系の機能調節に関わる分子として知られています。
※4)Fos
Fosは刺激後すぐに発現が上昇する 即時早期遺伝子(Immediate Early Gene) の代表で、神経細胞が興奮した場所を可視化するために最も広く使われています。
※5)電気生理学的
ニューロンの活動を電気的に測定する方法です。本研究では、ニューロンの近くで生じる微弱な電気的変化を記録しています。

研究内容の詳細

後肢虚血再灌流後のラット脊髄後角における神経活動の変化の 解明:「痺れ」のメカニズム解明を目指して[PDF, 411KB]

問い合わせ先

富山大学学術研究部薬学・和漢系 応用薬理学研究室
准教授 歌 大介


TEL:076-434-7511
E-mail: