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筑波大学 研究Discovery Saga
2026年5月22日

既知の観測量間の関係から別の観測量を効率的に予測する計算手法を開発

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
物理学研究においてこれまで大きな負担となっていたパラメータ推定の手順を省きつつ、効率よく物理現象を予測できる新しい道が開かれました。宇宙や物質科学など、この手法のさまざまな分野への応用が期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
数物系科学工学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
計算量/原子核/物質科学/パラメータ推定/酸素同位体/同位体/数値計算/持続可能/持続可能な開発/不確かさ
テクノロジー・材料


(Image by cybermagician/Shutterstock)

概要

物理学研究で使われる数値計算では、一般に多数のパラメータ推定を含みます。本研究では、既知の観測量(計算結果)同士の関係に着目し、パラメータ推定を介さずに予測を行う新しい手法(MEPエミュレータ)を開発しました。これにより計算コストの大幅な削減と、効率的な不定性評価が実現できます。
 物理学研究では、実験で得られたデータをもとに理論を調整し、まだ観測されていない現象を予測するというのが一般的な手順です。しかし現実の理論はとても複雑で、実験で直接測ることができない、多くの「パラメータ」と呼ばれる数値を推定した上で、別の現象を計算するという手順が必要になります。この作業は非常に計算量が多く、パラメータの不確かさが最終的な予測に及ぼす影響を調べるのも困難です。
 本研究では、Multiparameter Eigenvalue Problem(MEP)と呼ばれる数理的な枠組みを利用した新しいエミュレータ(高速な近似モデル)を構築し、パラメータを使わず、すでに分かっている観測データ同士の関係から、別の観測量を直接予測する新しい計算手法を開発しました。
 簡単な模型を使ってこの手法を検証したところ、従来の計算方法ではうまく扱えなかった複雑な振る舞いも、安定して再現できることが分かりました。さらに、実際の原子核の問題に応用し、酸素同位体のエネルギーを予測したところ、実験結果とよく一致する確率分布が得られました。この手法では大量の計算を短時間で繰り返すことができ、予測のばらつき(不確かさ)の評価も容易です。
 本研究成果により、物理学研究においてこれまで大きな負担となっていたパラメータ推定の手順を省きつつ、効率よく物理現象を予測できる新しい道が開かれました。宇宙や物質科学など、この手法のさまざまな分野への応用が期待されます。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学計算科学研究センター
Hang Yu 研究員
宮城 宇志 助教

掲載論文

【題名】
An Efficient Learning Method to Connect Observables
(観測量どうしを繋ぐ効率的な学習法の開発)
【掲載誌】
Physical Review Letters
【DOI】
10.1103/33q9-76qp

関連リンク

計算科学研究センター