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北海道大学 研究Discovery Saga
2026年5月20日

深海に潜るクジラの視覚は薄暗さにだけでなく水圧にも耐えている

~強い水圧下における視物質ロドプシンの構造安定化に関わる適応進化を解明~(地球環境科学研究院助教 早川卓志)

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学環境学数物系科学化学生物学工学医歯薬学
【Sagaキーワード】
自由エネルギー/深海環境/静水圧/分子動力学シミュレーション/揺らぎ/タンパク質構造/塩基配列/光環境/視物質/適応進化/分子進化/地球環境/シミュレーション/動力学/分子動力学/アミノ酸配列/アミノ酸/ロドプシン/網膜/立体構造/遺伝子

2026年5月20日

発表のポイント

●深海潜水性クジラ(マッコウクジラやアカボウクジラの仲間)は水深数千メートルの深海に潜る。
●視物質ロドプシンが、深海潜水性クジラにおいて高水圧に耐える方向へ進化していたことを発見。
●深海の薄暗さに対してだけでなく、高水圧に対しても、深海潜水性クジラの視覚は適応していた。

発表概要

北海道大学大学院環境科学院博士後期課程の竹内 颯氏と、同大学大学院地球環境科学研究院の早川卓志助教の研究グループは、水深数千メートルにもなる深海に潜るクジラ類(アカボウクジラ科及びマッコウクジラ上科)において、眼の網膜で光を受容する役割を担う視物質ロドプシンが、深海の強い水圧に耐える方向に進化してきたことを明らかにしました。51種のクジラ類のロドプシン遺伝子の塩基配列に対して、本研究で新しく開発した分子進化モデル解析を適用し、これら深海潜水性のクジラ類では、ロドプシンタンパク質の圧縮性に大きな変化をもたらす置換が選ばれやすいことが示されました。さらに、高圧条件下でのロドプシンの構造動態を分子動力学シミュレーションにより解析した結果、ロドプシンタンパク質を構成するアミノ酸配列の299位にアラニンを持つ型が、セリンを持つ型に比べて、タンパク質構造の揺らぎが小さく、圧縮率の変化や自由エネルギーコストも低いことが分かりました。これらの結果から、深海潜水性クジラでは、ロドプシンが深海の薄暗い光環境に対してだけでなく、高水圧に対しても適応してきたことが示されました。本研究は、深海環境におけるタンパク質適応の仕組みに新たな視点を与えるものです。
なお、本研究成果は、2026年3月16日(月)公開のGenome Biology and Evolution誌にオンライン掲載されました。
論文名:Pressure-tolerant Evolution in Rhodopsin of Deep-diving Whales(深海性クジラ類のロドプシンにおける耐圧性の進化)
URL:https://doi.org/10.1093/gbe/evag068
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深海潜水性クジラ類(左)。視物質ロドプシンの立体構造と深海の高静水圧に適したアミノ酸(アラニンとセリン)(右)。