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北海道大学 研究Discovery Saga
2026年5月20日

AIを使った原子核のモデリング

~未知の原子核の形を予言~(理学研究院准教授 野村昂亮)

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
経験的なパラメータチューニングなしに原子核の形を予言することが可能に
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学数物系科学工学
【Sagaキーワード】
ニューラルネットワーク/機械学習/最適化/人工知能(AI)/核構造/原子核/原子核構造/原子核物理学/集団運動/不安定核/陽子/中性子/ニューラルネット/モデリング

2026年5月20日

発表のポイント

●機械学習を用いた原子核モデルの最適化に成功。
●経験的なパラメータチューニングなしに原子核の形を予言することが可能に。
●基礎物理の問題解明、社会的応用への貢献に期待。

発表概要

北海道大学大学院理学研究院の野村昂亮准教授らの研究グループは、AIの機械学習を用いることにより、原子核の形を予言することに成功しました。
原子核は全体として変形し、振動や回転といった集団運動を起こします。原子核の形と集団運動が生じる微視的なメカニズムの解明は、現代の原子核物理学における中心的な課題です。集団運動の模型である「相互作用するボソン模型(IBM)」は、原子核構造の研究に大きな成功を収めてきましたが、現象論的であり、微視的な理論による基礎づけが必要とされてきました。近年、野村准教授らが中心となって最先端の量子多体理論に基づいたIBMの定式化が行われ、未知の原子核に関する予言も含め、集団運動研究に幅広く用いられてきました。その一方、パラメータが原子核ごとに決められていたことから、その系統的な振る舞いに関して経験的知識に基づく最適化が必要になるという問題がありました。
本研究では、物理的な要請を適切に反映したニューラルネットワークを構築し、IBMのパラメータを一意に決定することに初めて成功しました。集団運動の特徴的な性質を再現することでその有効性が示され、理論研究における問題が解決されることとなりました。AI技術を応用することでエキゾチックな原子核の形と集団運動を予測できることが本研究によって示され、原子核の全貌解明に向け大きく前進しました。今後、不安定核の構造と反応に関して従来よりも高い精度で理論値を提供できることが期待され、基礎物理の問題解明のみならず社会的応用への貢献も期待されます。
なお、本研究成果は、2026年5月8日(金)公開のPhysics Letters B誌にオンライン掲載されました。
論文名:Microscopic derivation of the interacting boson model parameters with machine learning (機械学習を用いた相互作用するボソン模型パラメータの微視的導出)
URL:https://doi.org/10.1016/j.physletb.2026.140522
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原子核は陽子と中性子が相互作用することで変形し、レモン型、ミカン型、洋ナシ型などの「形」を持つ。変形した原子核は振動、回転といった集団運動を起こす。AIの機械学習を組み込んだ原子核構造計算により、集団運動を予言することに成功した。