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東北大学 研究Discovery Saga
2026年5月19日

難治性の皮膚腫瘍「血管肉腫」に新規治療の可能性

-内服薬PAI-1阻害薬併用による抗腫瘍効果に期待-

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
日本における血管肉腫をはじめとする肉腫患者の生存期間の向上に繋がることが期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域工学農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
評価基準/持続可能/持続可能な開発/抵抗性/悪性度/血管内皮/抗腫瘍免疫/肉腫/微小管/がん化/画像診断/がん細胞/血液/血管新生/血管内皮細胞/抗腫瘍効果/細胞死/腫瘍免疫/生理活性/生理活性物質/内皮細胞/免疫チェックポイント/臨床試験/医師/化学療法/抗がん剤
2026年5月19日 11:00

研究者情報

〇大学院医学系研究科 准教授 藤村卓
ウェブサイト

発表のポイント

PAI-1(注1)阻害薬TM5614(注2)は、研究段階から臨床試験まで一貫して東北大学で開発した新規医薬品です。
血管肉腫の標準治療であるパクリタキセル(注3)が効かない皮膚血管肉腫(注4)に対して、PAI-1 阻害薬TM5614 の安全性・有効性を検討する医師主導治験(第Ⅱ相試験)を実施し、TM5614 は、安全にパクリタキセルの抗腫瘍効果を増強することが示唆されました。
今後、薬事承認のための検証試験(第Ⅲ相試験)が予定されており、日本における血管肉腫をはじめとする肉腫患者の生存期間の向上に繋がることが期待されます。

発表概要

皮膚血管肉腫は極めて希少な肉腫であり、血管内皮細胞(注5)ががん化した大変予後の悪い皮膚がんです。血管肉腫の治療は、パクリタキセルが第1選択薬となっていますが、再発後の2次治療に対して有効な治療はほとんど無く、新たな治療薬の開発が望まれています。
東北大学大学院医学系研究科皮膚科学分野の藤村卓准教授らの研究グループは、東北大学発のスタートアップ企業である株式会社レナサイエンスと共同で、内服薬PAI-1 阻害薬TM5614 が、血管肉腫においてパクリタキセルの耐性を解除し、抗腫瘍免疫を増強する可能性を見出しました。2023年9月から2024 年12 月に、パクリタキセルが無効の皮膚血管肉腫16 例に対し、パクリタキセルとPAI-1 阻害薬TM5614 の安全性・有効性を検討する第Ⅱ相試験を施行した結果、奏効率(注6)が13.3%(PPS)、全生存期間が21.1ヶ月と既存の治療薬を凌駕する効果が得られました。また、未知の有害事象は認められず、重症の有害事象も31.3%と他の治療法と比較して低い数値でした。本研究により、パクリタキセルとPAI-1 阻害薬TM5614 の併用療法が血管肉腫に対する二次治療として新たな治療選択となりうる可能性が示唆されました(図)。
今後は、薬事承認のための検証試験(第Ⅲ相試験)が予定されており、日本における血管肉腫をはじめとする肉腫患者の生存期間の向上に繋がることが期待されます。



図.パクリタキセル抵抗性皮膚血管に対する新たな治療戦略

用語解説

注1. PAI-1(プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1):
古くは血管新生に、最近は免疫チェックポイントの発現に関与することが知られています。いずれも癌の進行に深く関わることから、癌の進行に直接関わる因子として30年前から研究されています。
注2. PAI-1阻害薬TM5614:
東北大学が株式会社レナサイエンスと共同で開発した医薬品(内服薬)。
注3. パクリタキセル:
太平洋イチイの樹皮から抗がん作用が見いだされた化学療法剤(抗がん剤)で、現在は化学合成されています。細胞の分裂に関わる「微小管」に結合して、がん細胞の分裂をとめ、死滅させる(細胞死)と考えられています。
注4. 皮膚血管肉腫:
血管肉腫は皮膚がんの一種で、とりわけ頭皮の血管肉腫は100 万人当たり2.5人程度とまれですが、極めて悪性度が高く、急速に進行し5年の無病生存率は20%以下と報告され、標準的な治療法は確立されていません。
注5. 血管内皮細胞:
血管の内腔を覆う細胞です。血管内皮細胞は血管の構成要素となるだけでなく、血液と 組織が酸素や栄養素などの物質交換を行う場として働き、さらには様々な生理活性物質を産生して組織や臓器の機能を維持する働きがあります。
注6. 奏効率:
固形がんに対する治療効果の判定に用いる一般的な評価基準です。治療開始前に腫瘍の大きさをCTなどの画像診断で計測し、大きな腫瘍を選択して標的病変、それ以外を非標的病変と呼びます。これら病変の治療中の大きさの変化を「完全奏効(CR)」「部分奏効(PR)」「安定(SD)」「進行(PD)」と表します。
完全奏効(CR)
すべての標的病変の消失もしくはリンパ節の場合は短径10㎜未満に縮小
部分奏効(PR)
治療開始前より30%以上縮小
進行(PD)
治療中に最も腫瘍が小さい時より20%以上腫瘍が増大もしくは径にして5㎜以上の増大
安定(SD)
部分奏効(PR)と進行(PD)の間

完全奏効(CR)+部分奏効(PR)の割合を奏効率と定義します。

詳細(プレスリリース本文)

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科皮膚科学分野
准教授 藤村 卓(ふじむら たく)
TEL: 022-717-7271
Email: tfujimura1*derma.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
東北大学病院広報室
TEL: 022-717-8032
Email: press.med*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)






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