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京都大学 研究Discovery Saga
2026年5月18日

細胞集団移動を制御する接着因子動態

―ZO-1の動的局在変化を発見―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
総合生物医歯薬学
【Sagaキーワード】
生体内/細胞間接着/接着因子/光イメージング/細胞内シグナル/浸潤/組織形成/細胞外基質/蛍光イメージング/細胞移動/上皮細胞
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

青木一洋 生命科学研究科教授、平野咲雪 同助教、近藤洋平 同特定准教授(現:名古屋大学特任准教授)、北島旦之 同修士課程学生らの研究グループは、上皮細胞が集団で移動するとき、細胞どうしをつなぐタンパク質ZO-1が、細胞の底面にある接着構造「ポドソーム」へ一時的に移動することを明らかにしました。発生、傷の修復、がんの浸潤では、多数の細胞が足並みをそろえて動く必要がありますが、その仕組みには不明な点が残されていました。本研究では、蛍光イメージングや細胞移動実験を用いて、ERKという細胞内シグナル活性化の波がZO-1の移動を促し、ポドソームでの力の発生や細胞外基質の分解、浸潤的な移動を高めることを示しました。さらにZO-1はERKの波そのものにも関わり、集団移動を調整していました。本成果は、組織形成や傷の治癒、がん浸潤の理解につながる基礎知見です。
 本研究成果は、2026年5月9日に、国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。
画像

細胞集団移動におけるZO-1の動的局在変化のイメージ図。ERK活性化の波が細胞集団内を伝わり、細胞間接着部位に存在するZO-1が細胞底面のポドソームへ一時的に移動する。ポドソームに集積したZO-1は、細胞外基質への力の発生や基質分解を促し、細胞の浸潤的な移動を調整する。

研究者のコメント
「本研究を通じて、ZO-1が細胞間接着部位にとどまる静的な構成要素ではなく、細胞の状態に応じて局在と機能を変える動的な制御因子であることが見えてきました。ERK活性化波とポドソームを介した浸潤を結びつける今回の知見は、細胞集団移動の理解を深めるものだと考えています。今後は、生体内での意義を検証し、組織形成や病態理解へとつなげていきたいです。」(平野咲雪)

詳しい研究内容について

細胞集団移動を制御する接着因子動態―ZO-1の動的局在変化を発見―

研究者情報

研究者名 青木 一洋
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名 平野 咲雪
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名 近藤 洋平 Researchmap

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1038/s41467-026-72840-8

【書誌情報】
Sayuki Hirano, Yohei Kondo, Asayuki Kitajima, Noriyuki Kinoshita, Tetsuhisa Otani, Mikio Furuse,Naoto Ueno, Kazuhiro Aoki (2026). ZO-1 shuttles between apical junctional complexes and podosomes by riding ERK activation waves.Nature Communications.

関連部局

生命科学研究科