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北海道大学 研究Discovery Saga
2026年5月15日

大雨が降ると富士山は数センチ高くなる

~噴火前に起こる膨張との区別が重要~(北海道大学名誉教授 日置幸介)

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
数物系科学農学
【Sagaキーワード】
GNSS/マグマ/地殻変動/噴火予知/衛星/衛星観測/観測装置/透水性

2026年5月15日

発表のポイント

●富士山周辺の電子基準点(測位衛星を用いた地殻変動観測装置)の5年間の上下の動きを解析。
●大雨によって山頂に近い点は隆起(地下水脈の膨張)、遠い点は沈降(雨水による荷重変形)した。
●雨による「冷たい」膨張と、噴火に先立つ「熱い」膨張との区別は今後の噴火予知に重要。

発表概要

北海道大学の日置幸介名誉教授(元同大学大学院理学研究院教授)らの研究グループは、国土地理院によって富士山山頂及び周辺に展開された稠密な測位衛星観測局(GNSS局)の過去5年間の日々の動きを解析し、気象庁のアメダス観測点の雨量データと比較、富士山における雨と地殻変動の関係性を初めて明らかにしました。
富士山は1707年の宝永噴火以来300年の間噴火しておらず、次の噴火が懸念されています。噴火の前にはマグマが地下深くから上がってくるため山体が膨張することが知られています(「熱い膨張」)。それを検出するために、衛星測位や傾斜計を用いて日々富士山の変形が監視されています。一方、富士山は水の山としても有名です。富士山の斜面には恒久的な河川はなく、降った雨水は地面に染み込んで溶岩流に挟まれた透水性の高い層を通って流れ下ります。それらはやがて溶岩流の先端で地表に吹き出し、山麓に美しい湖や滝を形成します。
本研究成果から、台風や線状降水帯による大雨に伴って、山頂周辺の新富士溶岩流に覆われた地域のGNSS局は隆起し、逆に麓や遠方のGNSS局は沈降することが分かりました。隆起は地下の水脈の膨張によるもので(富士山の「冷たい膨張」)、沈降は雨水の重みによるものです。いずれも大雨が終わると数日で回復します。これらの隆起や沈降は数cm程度のわずかなものですが、噴火の前兆である熱い膨張も、同じ程度のわずかな地殻変動として始まるため、両者を正しく区別することは重要です。
なお、本研究成果は、2026年4月28日(火)公開のGeology誌にオンライン掲載されました。
論文名:Heavy rains inflate Mount Fuji, central Japan(大雨は富士山を膨張させる)
URL:https://doi.org/10.1130/G54450.1
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(A)2023年6月~10月における雨量と本栖湖の水位、(B)富士山西斜面の3071番GNSS局の上下動、共通誤差を取り除くと降雨に伴う隆起が明らかになる。4ミリを超える隆起があった日(破線)の多くは、降雨があった日であることが分かる。(C)日々の降雨と上下位置は有意な正の相関を示す(降雨に伴って隆起する)。