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大阪大学 研究Discovery Saga
2026年5月11日

\イルカはなぜ速い?に、乱流研究者が答える!/ 「富岳」の力を借りてイルカの遊泳機構を解明

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
速く泳ぐコツの科学的理解、省エネで速い水中ロボットの設計指針、乱流の制御技術への発展に期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学数物系科学工学農学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
スーパーコンピュータ/数値シミュレーション/持続可能/省エネ/持続可能な開発/シミュレーション/ロボット/省エネルギー/数値解析/流体力/流体力学/ドローン
2026-4-30●自然科学系基礎工学研究科講師本告 遊太郎

発表のポイント

最新の乱流理論により、イルカが速く泳げるヒミツが、ドルフィンキックで生じる「大きな渦」にあることを発見
スーパーコンピュータを用いた数値シミュレーションにより、乱流の中に隠れた「大小さまざまな渦」の動きを可視化することで、イルカの遊泳機構を明らかに
速く泳ぐコツの科学的理解、省エネで速い水中ロボットの設計指針、乱流の制御技術への発展に期待

発表概要

大阪大学大学院基礎工学研究科の本告遊太郎講師、村端秀樹さん(当時博士前期課程)、後藤晋教授の研究グループは、イルカが乱れた流れ(乱流)を生み出しながら速く泳げる秘密が、乱流の中に隠れた「尾びれサイズの大きな渦輪」にあることを明らかにしました。
イルカは尾びれを上下に動かし、乱流を作りながら速く泳ぎます。しかし、ぐちゃぐちゃに見える乱流を眺めているだけでは、イルカが速く泳ぐ仕組みは分かりません。
そこで、スーパーコンピュータ『富岳』と、最新の乱流理論に基づく解析を駆使することで、イルカの遊泳中に生じる乱流を「渦」の大きさ別に分けて可視化しました。図や可視化動画を見ると、ドーナツ状の大きな渦輪が生じ、この渦輪の中心から、強い後ろ向きの流れ(運動量)を作ることで速く泳げることがよく分かります。一方で、その他の小さな渦は、イルカの推進にはあまり重要でないことも分かりました。
本研究は、省エネルギーでスピードの速い水中ドローンや水中ロボットの設計に役に立つほか、泳ぎだけではなく、鳥や昆虫の飛行、さらには乱流の制御技術にも広く応用できると期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「Physical Review Fluids」に、4月30日(木)に公開されました。また、本論文は、注目論文として Editors’ Suggestion に選出されるとともに、アメリカ物理学会(APS)による報道機関向け広報の対象にも選ばれました。

動画. 大小さまざまな渦を作りながら泳ぐイルカ

研究の背景

イルカが速く泳げる理由は、昔から生物学や流体力学における大きな疑問でした。この疑問に、「流体力学」の立場から答えるために、イルカがドルフィンキックで生み出す乱流に注目しました。この乱流の中に、イルカが推進力を生みだす秘密が隠れているはずと考えました。しかし、乱流は一見複雑なので、推進力発生の仕組みを理解するのが難しいという課題がありました。

研究の内容

そこで、イルカが自分で前に進む「自走イルカ」の数値シミュレーションを、スーパーコンピュータ『富岳』を用いて、実施しました。イルカは尾びれを上下に動かし、乱流を発生させながら泳ぎます。この乱流の中に隠れた「渦」を大きさ別に分けて可視化し、さらに、乱流の最新の知見に基づいて解析しました。
そうすると、尾びれの上下運動でできる「尾びれサイズの大きな渦輪」が、強い後ろ向きの流れ(運動量)を作って大きな推進力を生んでいることが分かりました。一方、小さな渦も無数に生じますが、これらは推進にあまり重要でないことも分かりました。

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

「速く泳ぐために重要な流れは何か」。本研究では、イルカの流体数値シミュレーションを通じて、「尾びれが生み出す大きな渦輪」が重要であることを明確に示しました。したがって、速く泳ぐためのポイントは、「どのように大きな渦を作るか」にあります。
この考え方は、省エネルギーでスピードの速い水中ドローンや水中ロボットの設計に役に立ちます。また、乱流の中で「推進力に効く渦」と「効きにくい渦」を分けて考える方法は、泳ぎだけではなく、鳥や昆虫の飛行、さらには乱流の制御技術にも広く応用できると期待されます。

特記事項

本研究成果は、2026年4月30日(木)に米国科学誌「Physical Review Fluids」(オンライン)に掲載されました。また、本論文は、注目論文として Editors’ Suggestion に選出されるとともに、アメリカ物理学会(APS)による報道機関向け広報の対象にも選ばれました。
タイトル:“Swimming mechanism of a dolphin on the basis of the hierarchy of vortices”
著者名: Yutaro Motoori, Hideki Murahata, and Susumu Goto
DOI:https://doi.org/10.1103/tnxb-ckr5
なお、本研究は、JSPS科研費(23K13253および25K01158)の一環として行われました。また、大阪大学大学院基礎工学研究科未来研究ラボシステムの援助を受けました。数値シミュレーションは、スーパーコンピュータ「富岳」の計算資源の提供を受け、実施しました(hp240136)。また、数値解析の一部は、自然科学研究機構のNIFS共同研究プログラムの支援の下、実施しました(NIFS24KISC007)。

参考URL

本告遊太郎 講師
https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/cb58925ebb303bd9.html
後藤晋 教授
https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/ce0fdec13f85c227.html

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