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京都大学 研究Discovery Saga
2026年5月8日

「ゆらぎ」の操作による微生物叢制御

―微生物叢遷移の再現性を制御する―

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
微生物群集の動態が初期条件によって左右されることを示し、今後の群集制御技術の開発に貢献することが期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
環境学生物学工学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
微生物群集/生物群集/マイクロ/生態系/細菌群集/微生物/微生物叢/ゆらぎ/マイクロバイオーム/細菌
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

林息吹 生命科学研究科博士後期課程学生と東樹宏和 同教授らの研究グループは、多様な微生物種で構成される群集において、遷移初期の「ゆらぎ」を操作することで、遷移後の群集に現れる様々なばらつきが制御可能であることを実証しました。
 近年、医療や農業、環境分野において機能的な微生物群集(マイクロバイオーム)の重要性が認識され、その制御への関心が高まっています。しかし、同じ条件で培養しても全く異なる群集構成に変化することがあり、その予測や制御は困難とされてきました。
 本研究では、こうした違いが培養初期のわずかな細胞数の差、すなわち「初期ゆらぎ」によって生じると考え、さまざまなゆらぎ条件を設定したうえで、多数の同条件培養(多反復培養)を行いました。その結果、初期ゆらぎが大きいほど群集の変化がばらつき、異なる群集へ移行しやすくなることを実証しました。これは、微生物群集の動態が初期条件によって左右されることを示し、今後の群集制御技術の開発に貢献することが期待されます。
 本研究成果は、2026年5月3日に、国際学術誌「Ecology Letters」にオンライン掲載されました。
画像

初期のゆらぎが創発する全く異なる群集構成。©︎藤野雅也

研究者のコメント
「細菌群集は多種・多個体を含んだ複雑な生態系です。この生態系をどうすればコントロールできるのか、という疑問の前に、そもそもコントロールは可能なのか、を考える必要があることに気づき本研究は始まりました。本研究の結果から、条件をうまく整えてやればコントロールが可能であることがわかりました。これで心置きなく、生態系をコントロールする方法の研究に進むことができます。」(林息吹)

詳しい研究内容について

「ゆらぎ」の操作による微生物叢制御―微生物叢遷移の再現性を制御する―

研究者情報

研究者名 Ibuki Hayashi ORCID 研究者名 東樹 宏和
京都大学 教育研究活動データベース

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1111/ele.70388

【書誌情報】
Ibuki Hayashi, Martina Sánchez-Pinillos, Hirokazu Toju (2026). Stochastic Forces in Microbial Community Assembly: Founding Community Size Governs Divergent Ecological Trajectories.Ecology Letters, 29, 5, e70388.

関連部局

生命科学研究科