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京都大学 研究Discovery Saga
2026年5月3日

エポキシ樹脂はなぜ劣化するのか?分子レベルで解明

―水や酸が分解を加速する仕組みを理論計算で解明―

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
樹脂の長寿命化につながる分子設計指針や、高耐久材料の開発、リサイクル技術の高度化に貢献する重要な知見です。エポキシ樹脂の信頼性向上と、環境負荷低減への応用が期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
工学医歯薬学
【Sagaキーワード】
樹脂/エポキシ樹脂/環境負荷低減/マルチスケール/モビリティ/リサイクル/環境負荷/長寿命化/寿命/分子設計
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

エポキシ樹脂は次世代モビリティなど多様な分野で重要な材料ですが、水分や酸による経時劣化が課題となっています。こうした背景のもと、九州大学を中心に科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業「界面マルチスケール4次元解析による革新的接着技術の構築」のプロジェクトが進められています。
 その一環として、吉澤⼀成 福井謙一記念研究センター研究員(九州大学名誉教授)と塩田淑仁 九州大学准教授の研究グループは、エポキシ樹脂を構成する主要な化学結合に着目し、コンピュータを用いた理論計算によって、結合切断に必要なエネルギーを調べました。その結果、水が関与すると反応が起こりやすくなり、酸性環境では結合切断に必要なエネルギーが半分以下になることが分かりました。
 本研究では、エポキシ樹脂が劣化する仕組みを、コンピュータを用いた理論計算によって分子レベルで解明しました。特に、水や酸の存在によって、樹脂内部の化学結合が切れやすくなり、劣化が大きく加速することを明らかにしました。
 本研究成果は、樹脂の長寿命化につながる分子設計指針や、高耐久材料の開発、リサイクル技術の高度化に貢献する重要な知見です。エポキシ樹脂の信頼性向上と、環境負荷低減への応用が期待されます。
 本研究成果は、2026年4月14日に、国際学術誌「Journal of Physical Chemistry B」に掲載されました。


エポキシ樹脂の構造とその結合切断の部位。酸の効果により⽔分⼦の加⽔分解が加速。

研究者のコメント
「エポキシ樹脂は、私たちの⾝の回りで当たり前のように使われていますが、『なぜ時間がたつと性能が落ちるのか』は、意外と分かっていませんでした。今回、コンピュータを⽤いた理論計算から⾒えない分⼦の世界で何が起きているのかを⽰すことができました。この知⾒が、材料をより⻑く安全に使うための設計や、将来のリサイクル技術につながることを期待しています。」(塩⽥淑仁)

詳しい研究内容について

エポキシ樹脂はなぜ劣化するのか?分子レベルで解明―水や酸が分解を加速する仕組みを理論計算で解明―

研究者情報

研究者名 吉澤 一成 Researchmap

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1021/acs.jpcb.6c00955

【書誌情報】
Amit Shrestha, Satoru Yamamoto, Keiji Tanaka, Kazunari Yoshizawa, Yoshihito Shiota (2026). Theoretical Study on the Degradation Mechanism of Epoxy Resin: Homolysis, Hydrolysis, and Acidic Hydrolysis of Chemical Bonds.The Journal of Physical Chemistry B, 130, 17, 4683-4694.

関連部局

福井謙一記念研究センター