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筑波大学 研究Discovery Saga
2026年5月3日

拡散光トモグラフィによる異常部位診断を大幅に高速化するAIモデルを開発

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
脳出血や腫瘍のリアルタイム診断に向けた基盤技術になると期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学数物系科学工学総合生物医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
AI/ニューラルネットワーク/機械学習/人工知能(AI)/近赤外/近赤外線/検出器/数値シミュレーション/赤外線/持続可能/持続可能な開発/シミュレーション/ニューラルネット/生体内/生体組織/悪性腫瘍/非侵襲/放射線
テクノロジー・材料


(Image by lucadp/Shutterstock)

概要

拡散光トモグラフィは、近赤外線を用いて生体内部の異常部位を非侵襲的に診断する新しい医療技術です。この診断を高精度に行うための光輸送シミュレーションを、従来の100万倍以上の速さ(約2ミリ秒)で実行するAI(人工知能)モデルの開発に成功し、リアルタイム診断への道を切り拓きました。
 近赤外線を使った「拡散光トモグラフィ」は、脳出血や悪性腫瘍などの疾患において、生体内部の異常部位を発見する診断技術として近年用いられています。この手法では、体を傷つけたり放射線を使うことなく、光を生体組織に照射して体内の異常を検出することができます。しかし、高精度な診断を行うには、光の伝わり方を記述する「光輸送方程式」を数値シミュレーションで解く必要があり、1回のシミュレーションに数時間を要するため、リアルタイム診断への応用は困難でした。
 本研究では、この数値シミュレーションを超高速に代替する、ニューラルネットワークを用いた機械学習モデルを開発しました。大量のシミュレーション結果を学習させたこのモデルは、異常部位の位置やサイズを入力すると、検出器で得られる時間変化の光シグナルを瞬時に出力します。学習に使われていないデータに対しても少ない誤差でシグナルが得られることも確認されました。このモデルでは約2ミリ秒という極めて短時間でシグナルが得られ、従来の数値シミュレーションの100万倍以上の高速化を達成しました。これにより、診断において考慮すべき大量のパラメータ探索が現実的になります。
 さらに、このモデルを統計的なサンプリング手法と組み合わせることで、観測された光シグナルから異常部位の位置や大きさを推定することにも成功しました。本研究の成果は、脳出血や腫瘍のリアルタイム診断に向けた基盤技術になると期待されます。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学計算科学研究センター
堀江 秀 研究員
矢島 秀伸 教授

掲載論文

【題名】
Development of a neural network predicting signals for time-domain diffuse optical tomography
(時間領域拡散光トモグラフィのためのシグナルを予測するニューラルネットワークの開発)
【掲載誌】
Biomedical Engineering Letters
【DOI】
10.1007/s13534-026-00578-9

関連リンク

計算科学研究センター