北海道固有種のエゾユキシリアゲを30年ぶりに正式に記録
~日本のユキシリアゲの生態解明に大きく貢献~(北方生物圏フィールド科学センター特任助教 福山伊吹)
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
2026年4月30日
北海道大学
広島修道大学
発表のポイント
●北海道固有種のエゾユキシリアゲを大雪山系から30年ぶりに正式に記録。●これまで記録がなかった札幌市でも本種を新たに発見。
●これまで全く知られていなかった本種の自然史的な知見を報告。
発表概要
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター森林圏ステーション和歌山研究林の福山伊吹特任助教、同苫小牧研究林の細木拓也特任助教、同大学大学院環境科学院博士後期課程の髙木惇司氏、北川康太氏、三枝弘典氏、早川 慧氏、同修士課程の福田将之氏、弁理士法人IPXの細木 萌弁理士、広島修道大学人間環境学部の鈴木智也准教授らの研究グループは、これまで大雪山系のみから報告されていた北海道固有種のエゾユキシリアゲ(Boreus jezoensis)を新種として記載して以来、30年ぶりに正式に記録するとともに、新たに約170km離れた札幌市からも多くの個体を発見しました。ユキシリアゲ(Boreus)は、冬季に雪上で活動することで知られる小型の昆虫です。これまでこのグループについて研究の多くはヨーロッパや北アメリカで行われており、東アジアの種における自然史的な知見はほとんど得られていませんでした。日本のユキシリアゲとしては、これまでエゾユキシリアゲ(Boreus jezoensis)一種のみが知られ、1996年に新種として記載されて以来、論文としての報告はありません。今回、本種の記録が唯一存在する大雪山系と、これまで記録がなかった札幌市で調査を行い、高標高地の積雪付近のコケからユキシリアゲを採集しました。それらは、形態観察によりエゾユキシリアゲであると確かめられ、遺伝学的な解析により大雪山系と札幌市の個体群は遺伝的分化が小さいことも明らかになりました。また、それぞれの地点で複数回行った野外調査で明らかになった本種の様々な生態的な知見が得られたとともに、近年の地球温暖化により本種の出現時期が変化している可能性も示唆されました。本成果は、これまでほとんど情報がなかった東アジア地域のユキシリアゲの生態解明に大きく貢献する重要な成果と言えます。
なお、本研究成果は、2026年4月21日(火)公開の日本昆虫学会国際誌Entomological Scienceにオンライン掲載されました。
論文名:Molecular identity and natural history notes ofBoreus jezoensis (Mecoptera: Boreidae)in the Japanese archipelago.(エゾユキシリアゲの遺伝的特徴及び自然史的知見)
URL:https://doi.org/10.1111/ens.70020
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今回、発見されたエゾユキシリアゲの成虫(上)とその生息環境(左下)及び採集地(右下)
北海道大学 研究