寄生虫の成長を試験管内で再現
― 性成熟を促進する因子を確認
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | 性成熟の発育機構の解明を通じて、寄生虫に起因する「顧みられない熱帯病」の新たな制御戦略の基盤となることが期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
2026.04.27
概要
岩手大学獣医学部の関まどか准教授らの研究グループは、代表的な寄生虫である肝蛭(かんてつ)の成長の一部を試験管内で再現することに成功し、性成熟を促進する因子を特定しました。本成果により、性成熟の発育機構の解明を通じて、寄生虫に起因する「顧みられない熱帯病」の新たな制御戦略の基盤となることが期待されます。本研究は2026(令和8)年3月16日にオンラインジャーナル『PLoS Neglected Tropical Diseases』で公開されました。
本件のポイント
寄生虫である肝蛭注1の宿主体内での成長過程の一部を試験管内で再現した。扁形動物門に広く保存されている性成熟を促す物質(有性化因子注2)が肝蛭でも性成熟を促進することを明らかにした。
本研究の成果は、今後、有性化因子によって制御される発育機構の解明を通じて、吸虫類に起因する「顧みられない熱帯病注3」の制御に貢献すると期待される。
論文情報
■ 題目:Fraction of sex-inducing substances facilitates growth and body shape change in a Fasciola hepatica/gigantica hybrid: A novel in vitro research platform for studying liver-stage juveniles derived from mice■ 著者:Sasaya Ohno, Chihiro Kitajima, Kiyono Sekii, Riku Ito, Akitoshi Yoshikawa, Shotaro Wakahara, Kimitoshi Sakamoto, Yukita Sato, Kazuya Kobayashi, Madoka Ichikawa-Seki
■ 誌名:PLoS Neglected Tropical Diseases
■ 公表日:2026年3月16日
用語解説
注1 肝蛭:ウシなどの反芻動物の肝臓に寄生する吸虫の一種。肝臓に障害を与え、畜産業に大きな被害をもたらすほか、人にも感染する人獣共通感染症の原因となる寄生虫である。
注2 有性化因子:扁形動物に広く存在する性成熟を促す生理活性物質。プラナリア注4では、無性生殖と有性生殖の切り替えを誘導することが知られている。
注3 顧みられない熱帯病:主に熱帯・亜熱帯地域で流行する感染症のうち、研究や対策が十分に進んでいない疾患群の総称。世界保健機関(WHO)が定義しており、貧困や衛生環境と密接に関連している。
注4 プラナリア:淡水などに生息する扁形動物の一種。再生能力が高いことで知られ、無性生殖と有性生殖を切り替える生物として、発生や再生、性成熟の研究に広く用いられている。
詳細
プレスリリース本文はこちら(1.89MB)問い合わせ先
弘前大学農学生命科学部 発生・生殖生物学研究室教授 小林 一也
TEL:0172-39-3587
E-mail:kobkyramhirosaki-u.ac.jp
弘前大学 研究