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大阪大学 研究Discovery Saga
2026年4月24日

\仏・The Cosmetic Victoriesで最優秀賞!/ 一次繊毛の形成抑制による 『肌の炎症再発予防』への新アプローチ

次世代スキンケア技術の提案が国際的評価を獲得

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
繰り返す肌トラブルを防ぎ、肌の安定性とレジリエンス(回復力・抵抗力)の向上に貢献する製品への応用に期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
レジリエンス/微生物/オミクス/オミクス解析/角化細胞/アトピー性皮膚炎/スクリーニング/炎症性サイトカイン/免疫細胞/サイトカイン
2026-4-22●生命科学・医学系薬学研究科特任准教授(常勤)鳥山 真奈美

発表のポイント

慢性的な皮膚炎症や肌の敏感化に対し、従来の一時的な鎮静ケアにとどまらない“炎症の再発予防”を目指す新たなアプローチを提案。
炎症の刺激によって角化細胞に「一次繊毛」が形成され、これが炎症記憶を持つ細胞の指標となる可能性が示された。さらに、一次繊毛の形成に「ERKシグナル」が重要であることを突き止め、形成を抑える有望な化粧品成分候補(ククルビタシンIIA、シリマリン)を発見した。
Cosmetic Valley(フランス)が主催する最先端化粧品技術を競うコンテストThe Cosmetic Victories 2026の学術部門で最優秀賞を受賞。
繰り返す肌トラブルを防ぎ、肌の安定性とレジリエンス(回復力・抵抗力)の向上に貢献する製品への応用に期待。

発表概要

大阪大学大学院薬学研究科 マンダム先端化粧品科学協働研究所の鳥山真奈美特任准教授(常勤)、東京大学医科学研究所の石井健教授、名古屋市立大学大学院医学研究科の森田明理教授、大阪大学微生物病研究所の元岡大祐講師らの研究グループは、慢性的な皮膚炎症や肌の敏感化に対し、従来の一時的な鎮静ケアにとどまらない“炎症の再発予防”を目指す新たなアプローチを提案しました。
本研究では、炎症性サイトカイン刺激により表皮の角化細胞に一次繊毛(primary cilia)が形成され、その存在が炎症記憶を有する細胞の指標となり得る可能性を示しました。さらに、オミクス解析と化合物スクリーニングを統合した独自の探索により、一次繊毛形成を抑制する有望な化粧品成分候補を見出し、アトピー性皮膚炎様の症状を有する被験者を対象にした評価により、植物エキスが肌状態の改善に寄与する可能性も確認されました。
従来の「一時的な鎮静ケア」にとどまらず、“炎症の再発予防”という新たな視点から、肌の安定性とレジリエンス向上に貢献する次世代スキンケア技術として期待されます。
本研究成果は、2026年4月13日(月)にフランスで開催された、化粧品分野における革新的なプロジェクトを国際的に表彰するコンテスト「The Cosmetic Victories 2026」(主催:Cosmetic Valley)において、世界中の応募の中から学術部門(Academic prize)で最優秀賞を受賞しました。



受賞後の鳥山真奈美特任准教授(常勤)

研究の背景

慢性的な皮膚炎症や肌の敏感化に対し、従来のスキンケア技術では、起きてしまった炎症に対する「一時的な鎮静ケア」にとどまっており、細胞に刻まれた「炎症記憶」に直接アプローチして“炎症の再発そのものを防ぐ”ことが困難でした。

研究の内容

本研究では、炎症性サイトカインの刺激によって角化細胞に一次繊毛が形成され、その存在が炎症記憶を持つ細胞の指標となる可能性が示されました。オミクス解析と化合物スクリーニングを組み合わせた独自の探索により、一次繊毛形成に重要な役割を果たすERKシグナルに着目し、ククルビタシンIIAやシリマリンといった、一次繊毛形成を抑制する有望な化粧品成分候補を見出しました。
さらに、アトピー性皮膚炎様の症状を有する被験者を対象とした評価において、シリマリンを含む植物エキスが肌状態の改善効果を示す可能性も確認されました。

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

本研究成果により、従来の一時的な鎮静ケアにとどまらず、“炎症の再発予防”という新たな視点から、肌の安定性とレジリエンス向上に貢献する次世代スキンケア技術として期待されます。

特記事項

本研究成果は、2026年4月13日(月)のThe Cosmetic Victories 2026にて発表しました。
本コンテストにはIndustrial prize(産業部門)で17カ国から73件、Academic prize(学術部門)で13カ国から21件の応募があり、本研究成果はAcademic prize(学術部門)の最優秀賞に選ばれました。
タイトル:“From Biology to Beauty: Primary Cilia–Controlled Cosmetics for Immune Memory Regulation and Sustainable Innovation”
発表者:大阪大学大学院薬学研究科 マンダム先端化粧品科学協働研究所 鳥山真奈美特任准教授(常勤)
本学大学院薬学研究科 マンダム先端化粧品科学協働研究所によるThe Cosmetic Victories 2026のAcademic prize (学術部門)最優秀賞受賞は、2度目となります(1度目受賞:2019年、タイトル:New generation of anti-perspirants、発表者:Kie Nakashima)
本研究は、JSPS科研費24K11450と内藤記念科学振興財団の助成を受け行われました。
関連するこれまでの研究成果
世界初、ヒト初代免疫細胞に“一次繊毛”を発見 皮膚免疫反応における機能を明らかに(2023.06.16プレスリリース