最長3.5ナノメートルの長距離分子ワイヤを介した一重項分裂の観測に成功
次世代太陽光発電や量子情報デバイスの革新に繋がるマルチエキシトン制御の新指針
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | 次世代太陽電池等の高効率太陽光エネルギー変換や、多重励起子を利用した量子情報科学の発展に大きく貢献することが期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
光エネルギー/量子情報/太陽/二量体/光エネルギー変換/太陽光/分子ワイヤ/エキシトン/ペンタセン/持続可能/持続可能な開発/太陽光発電/太陽電池/電池/スピン/ダイナミクス/ナノメートル/励起子/エネルギー変換/構造変化
2026.04.22
概要
慶應義塾大学理工学部の羽曾部卓教授、酒井隼人専任講師、同大学大学院理工学研究科修士課程(研究当時)の鈴木悠大君、神戸大学ライフ光学イノベーション研究センターの小堀康博教授、婦木正明特命助教、およびタンペレ大学のNikolai V. Tkachenko教授らの国際共同研究グループは、ペンタセンをポリイン(炭素の単結合と三重結合が交互に並んだ分子鎖)で連結した一連の二量体を合成し、最長3.5ナノメートルという極めて長い距離間での「一重項分裂(Singlet Fission: SF)」を観測することに成功しました。これは、これまで報告された一重項分裂の中で最長のスピン伝搬距離に相当します。さらに本研究では、連結する分子ワイヤの長さを変えることで、一重項分裂によって生じた一重項状態の「三重項対(1TT状態)」をスピン変換による五重項状態の三重項対(5TT状態への変換)」、または「解離(T1 + T1状態への解離)」のいずれかに自在に制御できることを明らかにしました(注3)。この制御には、分子ワイヤの振動に伴う構造変化が重要な役割を果たしていることがメカニズム解析によって裏付けられました。本成果は、次世代太陽電池等の高効率太陽光エネルギー変換や、多重励起子を利用した量子情報科学の発展に大きく貢献することが期待されます。
この研究成果は、2026年4月20日に、米国科学誌『Journal of the American Chemical Society』のオンライン版に掲載されました。

詳細(プレスリリース本文)
論文情報
タイトル
“Long-Range Intramolecular Singlet Fission in Polyyne-Based Molecular Wire-Bridged Pentacene Dimers: Control of the Branching of the Singlet Correlated Triplet Pair into Either Spin Conversion or Dissociation”DOI
10.1021/jacs.5c21741著者名
Hayato Sakai, Masaki Fuki, Yudai Suzuki, Nikolai V. Tkachenko, Yasuhiro Kobori and Taku Hasobe掲載誌
Journal of the American Chemical Society問い合わせ先
神戸大学企画部広報課E-Mail:ppr-kouhoushitsu[at]office.kobe-u.ac.jp(※ [at] を @ に変更してください)
研究者
小堀 康博
教授
ライフ光学イノベーション研究センター

婦木 正明
助教
ライフ光学イノベーション研究センター

SDGs

ライフ光学イノベーション研究センター
神戸大学 研究