
高齢者虐待を防ぐ手がかりは“子ども時代”にある?
―子ども期のポジティブな体験の多さが将来の加害リスクの低さと関連―
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
この研究の主な対象者企業・研究者の方
公開日
概要
これまで「虐待の世代間連鎖」という言葉は、子ども期に虐待を受けた人が成人後に自らの子どもへ虐待を行うという文脈で用いられてきました。しかし以前の研究では、この連鎖は子どもだけでなく高齢者に対する虐待にも及び、暴力の連鎖はあらゆる弱者に及ぶ可能性が明らかとなりました。古賀千絵 人と社会の未来研究院特定講師らの研究グループは、子ども期のポジティブな経験が成人期における高齢者虐待加害リスクにどのように関連するかを20〜64歳の男女約1万3千人を対象に、2022年9月から10月にオンライン調査を実施しました。子ども期の経験と高齢者虐待との関連を検討した結果、子ども期に逆境体験がない人の中では、地域でのポジティブな経験が多いほど、虐待のリスクが低いことが示されました。一方で、この関連は子ども期の逆境体験が多い人ほど弱くなる傾向がみられました。
本研究成果は、2026年4月17日に、国際学術誌「Journal of Interpersonal Violence」にオンライン掲載されました。

研究者のコメント
「本研究は、子ども期のポジティブな経験が、将来の高齢者虐待加害リスクの低さと関連する可能性を示しました。これは、子ども食堂や地域の居場所づくりのような実践が、子どもの現在の生活を支えるだけでなく、長期的には暴力の予防にも資する可能性を示唆するものです。虐待や逆境体験を減らすことに加えて、安心できる居場所、信頼できる大人との出会い、受け入れられる経験を社会の中で増やすことの重要性が改めて示されたと考えています。」
詳しい研究内容について
高齢者虐待を防ぐ手がかりは“子ども時代”にある?―子ども期のポジティブな体験の多さが将来の加害リスクの低さと関連―研究者情報
研究者名 古賀 千絵京都大学 教育研究活動データベース
書誌情報
【DOI】https://doi.org/10.1177/08862605261437087
【書誌情報】
Chie Koga, Taishi Tsuji, Masamichi Hanazato, Takeo Fujiwara, Takahiro Tabuchi (2026). The Role of Positive Childhood Experiences in Intergenerational Violence and Elder Abuse.Journal of Interpersonal Violence.
京都大学 研究