黒い煙に隠された鉄ナノ粒子大気汚染の実態を磁性から解明
環日本海域環境研究センター、教授 松木 篤 MATSUKI, Atsushi
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
デザイン学/PM2.5/バイオマス燃焼/ブラックカーボン/海洋/粒子状物質/パルス/時間分解/温室効果/観測手法/気候変動/季節変動/素粒子/磁場/太陽/超伝導/太陽光/時間分解能/光吸収/健康リスク/酸化鉄/都市デザイン/カーボン/シミュレーション/ナノ粒子/マグネタイト/化学分析/環日本海/動力学/二酸化炭素/分解能/バイオマス/プランクトン/大気汚染/ストレス/酸化ストレス
Research NEWS
2026/4/21
概要
金沢大学環日本海域環境研究センターの松木篤教授、京都大学大学院エネルギー科学研究科の土屋望助教、富山大学学術研究部都市デザイン学系の川﨑一雄准教授らの共同研究グループは、大気エアロゾル試料の磁性とブラックカーボン(BC)(※1)の観測という独自の組み合わせによって、新たな大気汚染の判別法を確立し、燃焼由来マグネタイトの動態を明らかにしました。PM2.5(※2)中に含まれる酸化鉄、特にマグネタイト(※3)は燃焼排出に由来し、酸化ストレス増大による健康リスクや太陽光吸収・海洋プランクトンへの施肥効果を通じた気候変動への関与が指摘されています。しかし観測手法の制約から、その燃焼排出源や季節変動については、知見が不足していました。
本研究ではマグネタイトの磁性に着目し、能登半島に位置する観測サイト(※4)で採取した実大気フィルター試料の残留磁化(※5)を超伝導磁力計で非破壊的に検出することで、世界で初めて 1 日ごとという時間分解能でのマグネタイトの通年観測に成功しました。燃焼指標である BC の観測データや詳細な化学分析結果との比較から、マグネタイトが石炭燃焼と強く関連し、大陸からの越境汚染に伴って冬に濃縮する傾向があることが明らかになりました。さらに、これまで光の吸収を利用して見積もられていたBC の総量に対して、燃焼由来マグネタイトが最大 5%の寄与を持つと推定され、無視できない温室効果を持つことも示されました。
BC に対するマグネタイト含有量は、「石炭燃焼>石油燃焼>バイオマス燃焼」の関係を示し、この知見は気候影響のモデルシミュレーションや大気汚染の排出源判別に活用が期待されます。
本研究成果は、2025 年 5 月 22 日に米国化学会が発行する学術誌『Environmental Science & Technology』のオンライン版に掲載されました。
金沢大学 研究