沈み込み帯誕生時の地殻形成プロセスを示す岩石・地球物理学的証拠を発見
海底下の「2つの地殻」を可視化
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
先端技術/極地/海洋/地下構造/数理科学/物質科学/IODP/テクトニクス/プレートテクトニクス/火山活動/地震波/地震波速度/地震波速度構造/沈み込み/沈み込み帯/日本列島/持続可能/持続可能な開発
2026.04.09
概要
国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 河村 知彦、以下「JAMSTEC」という。)地震火山研究部門の赤松祐哉研究員、道林克禎客員研究員、国立極地研究所/総合研究大学院大学の藤井昌和助教らの研究チームは、国立研究開発法人産業技術総合研究所、大阪公立大学、京都大学、名古屋大学、神戸大学と共同で、沈み込み帯誕生直後の前弧地殻が、複数の異なる火山活動によって形成されたことを示す岩石物理・地球物理学的証拠を初めて示しました。沈み込み帯の誕生は、地球のプレートテクトニクスの始まりに関わる重要な転換点です。大陸や日本列島の成り立ちを理解するためには、沈み込み帯誕生直後に地殻がどのように形成・進化したのかを解明する必要があります。しかし、そのような地殻形成をもたらした火山活動がどのように起こったのかを示す直接的な証拠は乏しく、長年未解明でした。本研究では、国際深海科学掘削計画(International Ocean Discovery Program: IODP)第352次研究航海(伊豆・小笠原弧前弧域調査掘削)で採取された岩石コア試料を用い、密度や空隙率、P波速度などの岩石物性を詳細に測定しました。その結果、沈み込み帯誕生後直後の火山活動で形成された岩石と、その後の火山活動で形成された岩石とでは、内部の割れ目(クラック)の量の違いが原因でP波速度が大きく異なることを明らかにしました(図1)。この結果を、掘削地点周辺で観測されている地震波速度構造と組み合わせることで、地殻が沈み込み開始直後の海底拡大を伴う火山活動と、海底拡大終了後に起こった火山活動の2つの段階を経て作られたことを、実際の地下構造として裏付けました(図1)。これは、大陸形成と関連する前弧地殻がどのように作られるのかを地球物理学的に初めて示す成果です。
本成果は、Nature Portfolioの論文誌『Communications Earth & Environment』に4月9日付け(日本時間)で掲載されました。

詳細(プレスリリース本文)
論文情報
タイトル
“Cracked on-axis and pristine off-axis crust formed during forearc evolution at a nascent subduction zone”DOI
10.1038/s43247-026-03400-7著者
赤松祐哉1、藤井昌和2,3、針金由美子4、柵山徹也5、山本由弦6,7、神谷奈々8、道林克禎1,91.海洋研究開発機構 地震火山研究部門 固体地球物質科学センター、2.国立極地研究所、3.総合研究大学院大学、4.産業技術総合研究所 地質情報研究部門(研究当時、現:東京海洋大学)、5.大阪公立大学、6.神戸大学、7.海洋研究開発機構 数理科学・先端技術研究分野(研究当時)、8.京都大学、9.名古屋大学大学院環境学研究科
掲載誌
Communications Earth & Environment問い合わせ先
神戸大学企画部広報課E-Mail:ppr-kouhoushitsu[at]office.kobe-u.ac.jp(※ [at] を @ に変更してください)
研究者
山本 由弦
教授
理学研究科

SDGs

理学研究科
神戸大学 研究