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東京科学大学 研究Discovery Saga
2026年4月10日

喫煙・飲酒に加え、「歯が少ない」ことが口腔咽頭がん死亡リスクを増大

喫煙・飲酒経験があり歯数が少ない高齢者は、死亡リスクが大幅に増加

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域工学医歯薬学
【Sagaキーワード】
健康教育/集合住宅/CVD/ハザード/モニタリング/リスクファクター/医療経済/寿命/追跡調査/日常生活/要介護/歯学/ストレス/フレイル/疫学/感染症/血圧/健康格差/健康寿命/公衆衛生/高血圧/高齢者/社会医学/社会疫学/循環器疾患/認知症/予防医学/老化

2026年4月10日 公開

ポイント

日本の自立高齢者約4万人を対象に、喫煙・飲酒歴および歯数と、その後12年間の口腔咽頭がん死亡との関連を検証しました。
喫煙・飲酒経験がある人では、非喫煙・非飲酒者と比べて口腔咽頭がん死亡リスクが高く、さらに歯数が少ない人ではそのリスクが一層高まることが明らかになりました。
特に、喫煙・飲酒経験があり、かつ歯数が少ないハイリスク集団に対しては、臨床現場や地域におけるモニタリングや予防的介入の強化が必要であることが示されました。

概要


東京科学大学(ScienceTokyo) 医歯学総合研究科 歯科公衆衛生学分野の木内桜助教、相田潤教授らの研究グループは、日本の自立高齢者39,882名を対象に、12年間の追跡調査を行いました。その結果、0.2%が口腔咽頭がんにより死亡しており、そのうち喫煙および飲酒の経験がある者は、非喫煙・非飲酒者と比べて、口腔咽頭がん死亡のリスクが上昇していました(ハザード比=2.87)。さらに、歯数が少ない人ではそのリスクがより高まり、歯数が0~19本の人に限定した解析では、喫煙および飲酒の経験がある者は、非喫煙・非飲酒者と比べて、口腔咽頭がん死亡のリスクが4.77倍高いことが明らかになりました。


喫煙、飲酒、口腔保健に関する個別の対策に加え、喫煙・飲酒経験を有し、かつ歯数が少ないハイリスク集団に対しては、歯科医院や地域の臨床現場におけるさらなる取り組みが望まれます。

本成果は、2026年3月16日(現地時間)付の「Oral Oncology 」誌に掲載されました。

喫煙・飲酒に加え、「歯が少ない」ことが、口腔咽頭がん死亡リスクを増大



※非喫煙・非飲酒者を基準とした場合

図1. 飲酒・喫煙歴および歯数と、その後12年間における口腔咽頭がん死亡リスクとの関連

背景

喫煙と飲酒は、口腔咽頭がん死亡の主要なリスクファクターであることが知られています。不良な口腔状態は、このリスクを高める可能性がありますが、喫煙や飲酒歴と口腔咽頭がん死亡との関連を、歯数がどのように修飾するのかについては、これまで検討されていませんでした。

そこで本研究では、日本老年学的評価研究(JAGES)の調査に回答した、2010年時点で65歳以上の自立した高齢者を対象とし、ベースライン時点で喫煙、飲酒、歯数を調査するとともに、その後12年間の口腔咽頭がん死亡について追跡しました。さらに、厚生労働省から取得した死因別死亡データと結合し、喫煙・飲酒歴および歯数と、その後の口腔咽頭がん死亡リスクとの関連を推定しました。

研究成果

    39,882名が解析に含まれ、平均年齢は73.7歳、男性は46.8%でした。追跡期間中に、0.2%が口腔咽頭がんにより死亡しました。
    分析の結果、喫煙および飲酒の経験を有する者は、非喫煙・非飲酒者と比べて、口腔咽頭がん死亡のリスクが上昇していました(ハザード比=2.87; 95%信頼区間=1.26–6.55)。
    さらに、歯数が少ない人ではそのリスクがより高く、歯数が0~19本の人に限定した解析では、喫煙および飲酒の経験を有する者は、非喫煙・非飲酒者と比べて、口腔咽頭がん死亡のリスクが4.77倍高いことが明らかになりました(ハザード比=4.77; 95%信頼区間=2.08–10.95)。

社会的インパクト

本研究から、喫煙および飲酒の経験を有することが、口腔咽頭がん死亡リスクの上昇と関連しており、特に歯数が少ない人においてその関連が顕著であることが明らかになりました。喫煙、飲酒、口腔保健に関する個別の対策に加え、喫煙および飲酒の経験を有し、かつ歯数が少ないハイリスク集団に対しては、歯科医院や地域の臨床現場において、口腔咽頭がんの発生の有無をモニタリングするとともに、健康教育を行うなどの対策が望まれます。

今後の展開

今後の研究においては、歯の喪失が、喫煙・飲酒経験と口腔咽頭がん死亡との関係をどのように強めるのかについて、さらなるメカニズムの解明が望まれます。

論文情報

掲載誌:
Oral Oncology
タイトル:
Smoking, Drinking, Tooth Loss and Risk of Oral–Pharyngeal Cancer Mortality
著者:
S. Kiuchi, Y. Matsuyama, K. Takeuchi, T. Kusama, T. Ojima, M. Saito, K. Kondo, H. Harada, K. Osaka, J. Aida
DOI:
10.1016/j.oraloncology.2026.107937

研究者プロフィール

木内 桜 Sakura Kiuchi
東京科学大学 医歯学総合研究科 歯科公衆衛生学分野 助教
研究分野:疫学、歯科公衆衛生学
松山 祐輔 Yusuke Matsuyama
東京科学大学 医歯学総合研究科 歯科公衆衛生学分野 准教授
研究分野:疫学、歯科公衆衛生学
竹内 研時 Kenji Takeuchi
東北大学 大学院歯学研究科 国際歯科保健学分野 准教授
研究分野:疫学、歯科公衆衛生学
草間 太郎 Taro Kusama

東北大学 大学院歯学研究科 歯学イノベーションリエゾンセンター データサイエンス部門 講師
研究分野:疫学、歯科公衆衛生学
尾島 俊之 Toshiyuki Ojima
浜松医科大学医学部 医学科 健康社会医学講座 教授
研究分野:疫学、公衆衛生学
斉藤 雅茂 Masashige Saito
日本福祉大学 社会福祉学部社会福祉学科 教授
研究分野:疫学、公衆衛生学
近藤 克則 Katsunori Kondo

千葉大学予防医学センター 特任教授
研究分野:社会疫学、健康格差、医療経済・政策学、老年学
原田 浩之 Hiroyuki Harada
東京科学大学 医歯学総合研究科 顎口腔腫瘍外科学分野 教授
研究分野:口腔外科学
小坂 健 Ken Osaka
東北大学 大学院歯学研究科 国際歯科保健学分野 教授
研究分野:疫学、公衆衛生学
相田 潤 Jun Aida
東京科学大学 医歯学総合研究科 歯科公衆衛生学分野 教授
研究分野:疫学、歯科公衆衛生学

関連リンク

プレスリリース 喫煙・飲酒に加え、「歯が少ない」ことが口腔咽頭がん死亡リスクを増大—喫煙・飲酒経験があり歯数が少ない高齢者は、死亡リスクが大幅に増加—(PDF)
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木内 桜 Sakura Kiuchi | Science Tokyo 研究情報データベース(医歯学系)
松山 祐輔 Yusuke Matsuyama | Science Tokyo 研究情報データベース(医歯学系)
相田 潤 Jun Aida | Science Tokyo 研究情報データベース(医歯学系)
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