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名古屋工業大学 研究Discovery Saga
2026年4月8日

地球温暖化ガスを資源に変える

― HFCを高密度フッ素材料に変換する新技術 ―

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
温室効果の高いHFC類を高付加価値なフッ素化合物へと変換する「アップサイクル」技術として、環境負荷低減と有用物質創製の両立に貢献することが期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
環境学数物系科学化学工学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
温室効果ガス/地球温暖化/水分子/対称性/非対称性/温室効果/エナンチオマー/キラル/反応場/不斉合成/有機合成化学/材料科学/樹脂/持続可能/環境負荷低減/カーボン/フッ素/環境負荷/廃棄物/温暖化/ナノメディシン/脳科学/アルコール/MRI/リガンド/合成化学/造影剤/配位子/分子変換/有機合成

カテゴリ:プレスリリース|2026年4月 8日掲載

発表のポイント

○   HFCから高密度フッ素化アルコールを合成する新手法を開発
○   フロー合成により高効率・高収率を実現
○   温室効果ガスのアップサイクルによる環境・資源問題解決に貢献

概要

高密度フッ素化アルコールとは、アルコールのα炭素上に高度にフッ素化されたアルキル基を有する化合物群であり、MRIの造影剤や不斉合成反応に使用するキラルリガンド(*1)などへの応用が期待されています。名古屋工業大学の岩﨑皓斗氏(共同ナノメディシン科学専攻3年)、服部雅史氏(同2年)と柴田哲男客員教授(生命・応用化学類)らの研究グループは、地球温暖化係数の高いハイドロフルオロカーボン(HFCs)から、高密度フッ素化アルコールの一種であるビス(ペルフルオロアルキル)カルビノールを合成する新手法を開発しました。本手法では、エアコンや冷蔵庫の冷媒として用いられるHFC-125(ペンタフルオロエタン、CF₃CF₂H)や、フッ素樹脂(テフロン)の製造過程で副生するHFC-23(フルオロホルム、CF₃H)を出発原料とし、さまざまなビス(ペルフルオロアルキル)カルビノールへと分子変換することができます。さらに長鎖のHFCであるHFC-329p(CF₃(CF₂)₃H)や1H-ヘプタデカフルオロオクタン(CF₃(CF₂)₇H)へと展開可能です。また、本手法はフロー合成にも拡張可能で、室温条件下で高密度フッ素化アルコールを高収率合成できます。

近年、HFCの段階的削減が国際的に進められる中、本研究は温室効果の高いHFC類を高付加価値なフッ素化合物へと変換する「アップサイクル(*2)」技術として、環境負荷低減と有用物質創製の両立に貢献することが期待されます。

本成果は、イスラエル化学会が発行する国際学術誌「Israel Journal of Chemistry」に2026年3月31日に掲載されました。同誌は特定テーマに焦点を当てた特集号形式で最先端研究を発信しており、世界中の著名な研究者の論文が掲載されています。本論文は、有機合成化学およびフッ素化学の発展に大きく貢献してきたG. K. Surya Prakash教授(ノーベル化学賞受賞者George A. Olah博士と長年にわたり共同研究を行った研究者)に捧げられた特集号に掲載されたものです。





▶詳細(プレスリリース本文)はこちら

謝辞

本研究は、JST戦略的創造研究推進事業(CREST)研究領域「分解・劣化・安定化の精密材料科学」(研究総括:高原淳(九州大学 ネガティブエミッションテクノロジー研究センター 特任教授))における研究課題「フッ素循環社会を実現するフッ素材料の精密分解」(研究代表者:柴田哲男)(課題番号JPMJCR21L1)、元島栖二博士 (CMC総合研究所)の支援を受けて実施しました。

論文情報

論文名:Upcycling Hydrofluorocarbons to Valuable Bis(perfluoroalkyl)carbinols via Nucleophilic Fluoroalkylation
著者名: Hiroto Iwasaki,  Masashi Hattori,  Norio Shibata* 
*責任著者
掲載誌:Israel Journal of Chemistry,  DOI:10.1002/ijch.70015
公表日: 2026年3月31日
Journal link:https://doi.org/10.1002/ijch.70015

用語解説

(*1)キラルリガンド
分子内に不斉要素(鏡像異性)を持ち、金属中心に配位した際に反応場へ立体的な非対称性を与える配位子である。これにより、生成物の一方のエナンチオマーを選択的に得る不斉合成が可能となる。
(*2)アップサイクル
廃棄物や不要品を単に再利用するのではなく、新たな価値や機能を付加してより高付加価値の製品へと再生する考え方である。資源の有効活用と環境負荷低減を両立する持続可能な取り組みとして注目されている。

問い合わせ先

(研究に関すること)
名古屋工業大学 生命・応用化学類
客員教授 柴田 哲男
TEL:052-735-7543E-mail:nozshiba[at]nitech.ac.jp
(広報に関すること)
名古屋工業大学 企画広報課
TEL:052-735-5647E-mail:pr[at]adm.nitech.ac.jp


*それぞれ[at]を@に置換してください。