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北海道大学 研究Discovery Saga
2026年4月2日

タンパク質の温度適応を決める新原理を解明

~「しなやかさ」ではなく反応エネルギーが鍵~(先端生命科学研究院助教 塚本卓)

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
タンパク質機能の環境適応の深い理解と設計への応用に期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
環境学化学生物学工学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
光エネルギー/光応答性/光反応/ATP合成/プロトンポンプ/光応答/環境適応/温度依存性/熱力学/反応速度/機能性/微生物/プロトン/細胞膜/分子機構/ATP/ロドプシン

2026年4月2日

発表のポイント

●光応答性タンパク質の温度適応の分子機構を解明。
●しなやかさ(構造の動きやすさ)ではなく、反応過程ごとに必要なエネルギーが温度適応を支配。
●タンパク質機能の環境適応の深い理解と設計への応用に期待。

発表概要

北海道大学大学院先端生命科学研究院の塚本 卓助教らの研究グループは、地球規模で多様な温度環境に適応した微生物が持つ3種類の光応答性タンパク質(プロトン(H+)ポンプ型ロドプシン)について、その光反応の仕組みを温度ごとに詳しく調べ、温度適応の分子機構を解明しました。プロトンポンプ型ロドプシンは、光エネルギーを利用して細胞膜の内外にプロトン濃度勾配を形成し、ATP合成などの生命活動を支える重要なタンパク質であり、地球規模のエネルギー循環にも関与する分子として注目されています。これまで、タンパク質の温度適応には分子のしなやかさ(構造の動きやすさ)が重要と考えられてきましたが、本研究により、実際には反応を進めるために必要なエネルギー(活性化エンタルピーΔH)が反応速度の温度依存性を主に決定していることが明らかになりました。さらに、光反応の中間体を直接捉え、反応過程を段階ごとに解析することで、各段階で必要とされるエネルギーが異なること、そしてそれらが宿主微生物の生息環境の温度に応じて調整されている可能性が示されました。本成果は、タンパク質の環境適応の理解を深めるとともに、温度特性を制御した機能性タンパク質の設計(例えば、異なる温度条件でも安定かつ高効率に機能する光応答ツールや酵素の開発)に貢献することが期待されます。
なお、本研究成果は、日本時間2026年3月31日(火)公開のBiochemistry誌に掲載されました。
論文名:Thermodynamic Basis of Temperature Adaptation in Three Outward Proton Pump Rhodopsins Distributed Across Diverse Thermal Environments(多様な温度環境に分布す る3種類の外向きプロトンポンプ型ロドプシンの温度適応を支える熱力学的基盤)
URL:https://doi.org/10.1021/acs.biochem.6c00052
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