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筑波大学 研究Discovery Saga
2026年3月31日

遺伝性腎障害MCTOの発症メカニズムをマウスで解明

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
これまで有効な治療方法のなかったMCTO腎症の治療法開発につながると期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
工学農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
持続可能/持続可能な開発/リン酸/遺伝子異常/糸球体/腎不全/PI3K/モデルマウス/骨髄/AKT/マウス/疾患モデルマウス/上皮細胞/腎障害/腎臓/転写因子/白血病/遺伝子/遺伝子変異/疾患モデル
医療・健康


(Image by Shidlovski/Shutterstock)

概要

腎臓の糸球体上皮細胞に発現している転写因子MafBの遺伝子異常が原因で、腎不全をきたす中心性手根足根骨溶解症候群(MCTO)の発症メカニズムをモデルマウスで解明しました。また、既存の慢性骨髄性白血病の治療薬により腎障害が改善することが分かりました。
 中心性手根足根骨溶解症候群(MCTO)は、腎臓の糸球体上皮細胞内における転写因子MafBの遺伝子変異が原因で発症する発症頻度の低い遺伝性の希少疾患ですが、日本国内にも複数の患者が存在します。MCTO患者の約7割で大量タンパク尿を伴った進行性の腎不全(MCTO腎症)を起こし、有効な治療法はなく、患者の約4割が成人までに末期腎不全に至ります。この過程で巣状分節性糸球体硬化症を呈することは知られていましたが、その発症メカニズムは十分に解明されていませんでした。
 本研究では、MCTO患者の腎生検とともに、ヒトMCTO腎症患者と同じ変異を導入した疾患モデルマウス(MCTOマウス)を用いた解析を行いました。その結果、MCTO腎症により糸球体上皮細胞で、細胞の成長、増殖、生存を調節する重要な情報伝達の仕組みであるIGF1-PI3K/AKTシグナルが活性化し、酵素Aktのリン酸化が上昇して、MafBが分解されず蓄積することを見いだしました。また、MCTOマウスにこのシグナルを抑制する既存の慢性骨髄性白血病に対する薬剤を投与すると、Aktの過剰リン酸化が解除され、タンパク尿が減少して腎障害が軽減することが分かりました。これらの結果は、これまで有効な治療方法のなかったMCTO腎症の治療法開発につながると期待されます。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学医学医療系
高橋 智 教授

茨城県立医療大学医科学センター
濱田 理人 教授

兵庫県立こども病院
田中 亮二郎 副院長/腎臓内科部長

掲載論文

【題名】
Inhibition of MAFB and PI3K/AKT signaling for hereditary FSGS with Multicentric Carpotarsal Osteolysis
(多中心性手根足根骨融解症を伴う遺伝性巣状分節性糸球体硬化症に対するMAFBおよび PI3K/AKTシグナル経路の阻害)
【掲載誌】
Journal of American Society of Nephrology
【DOI】
10.1681/ASN.0000001060

関連リンク

医学医療系