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京都大学 研究Discovery Saga
2026年3月30日

価値を選択に変換する意思決定の神経回路

―神経回路操作によりサルの選択行動に介入―

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
うつ病や依存症など意思決定の異常が見られる病気の理解にも役立つと期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
工学総合生物医歯薬学
【Sagaキーワード】
選択行動/神経活動/線条体/ドーパミン/電気刺激/光遺伝学/神経回路/うつ/うつ病/遺伝学/精神疾患
この研究の主な対象者
企業・研究者の方 公開日

概要

松本正幸 ヒト行動進化研究センター教授と禰占雅史 筑波大学研究員(現:東京都医学総合研究所研究員)らのグループは、サルの脳で意思決定を行う神経回路を探索し、その回路の活動を操作することでサルの意思決定に介入することに成功しました。研究では、サルに選択肢を提示し、選ぶかどうかを決定させました。このとき、腹側線条体と呼ばれる脳領域の神経活動が、まず選択肢の価値を反映し、その後徐々に「実際に選択するかどうか」という意思決定の信号へと変化していくことが明らかになりました。この脳領域が価値情報を意思決定に変換する「橋渡し」の役割を担っていることを示しています。次に、腹側線条体に密に投射するドーパミン神経を光遺伝学と呼ばれる手法で活性化したり、腹側線条体自体を電気刺激すると、サルの選択が変化することが確認されました。これは、ドーパミン―腹側線条体神経回路が意思決定の実行に因果的に関与することを示す証拠です。この成果は、うつ病や依存症など意思決定の異常が見られる病気の理解にも役立つと期待されています。
 本研究成果は、2026年3月28日に、国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。
画像


研究者のコメント
「本研究では、脳がどのように『価値』を『行動』に変換しているのかという、意思決定の根本的な問いに挑みました。サルが意思決定課題をできるようになるまで1年以上の訓練が必要で、さらに脳内で神経活動を一つ一つ記録し、行動との関係を明らかにする過程は容易ではありませんが、その中で腹側線条体が価値から行動への橋渡しを担う可能性が見えてきたときの喜びは大きいものでした。本成果が、人間の意思決定の理解や精神疾患の研究につながることを期待しています。」

詳しい研究内容について

価値を選択に変換する意思決定の神経回路―神経回路操作によりサルの選択行動に介入―

研究者情報

研究者名 松本 正幸
京都大学 教育研究活動データベース

関連部局

ヒト行動進化研究センター