
シリコンナノ球で実現するバレーフォトニクスの新戦略
―原子1層の半導体から生じる光信号を偏光情報を保ったまま大幅に増強―
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
非線形/量子情報/量子情報処理/数値シミュレーション/カルコゲナイド/円偏光/遷移金属/SHG/フォトニクス/光通信/高調波/遷移金属ダイカルコゲナイド/第二高調波発生/非線形光学/電子状態/シミュレーション/シリコン/周波数/半導体
この研究の主な対象者企業・研究者の方
公開日
概要
松田一成 エネルギー理工学研究所教授、篠北啓介 分子科学研究所准教授(兼:総合研究大学院大学准教授)、呉柊斗 総合研究大学院大学(分子科学研究所)大学院生、藤井稔 神戸大学教授、杉本泰 同准教授、モジタバ・カリミハビル 同研究員らの研究グループは、原子1層の半導体である単層WS2にシリコンナノ球を組み合わせることで、第二高調波発生(SHG)の信号を大幅に増強しながら、バレー偏光に由来する円偏光の情報を高い忠実度で保持することに成功しました。光の周波数を2倍にするSHGは、光通信や量子情報処理において重要な非線形光学過程です。遷移金属ダイカルコゲナイドと呼ばれる原子1層の半導体では、SHGの円偏光状態が「バレー」と呼ばれる電子状態の自由度を直接反映するため、バレートロニクス応用にはSHG信号の増強と円偏光の保持を同時に実現することが不可欠ですが、原子1層の薄さに起因する低い変換効率が大きな課題でした。
本研究では、シリコンナノ球のMie共鳴を利用し、ナノ球の直径を変えることで、最大40倍以上のSHG増強や、約80%の高い円偏光度を保ちながらの信号増強を実現しました。さらに、電気・磁気モードのバランスが偏光保持を決定するメカニズムを数値シミュレーションにより解明し、ナノ球の直径設計によって増強度と偏光保持のバランスを制御できるという普遍的な設計指針を提供しました。本成果は、偏光の自由度を活用した集積型非線形バレーフォトニクスの実現に向けた重要な一歩です。
本研究成果は、2026年3月18日に、国際学術誌「Nano Letters」にオンライン掲載されました。

詳しい研究内容について
シリコンナノ球で実現するバレーフォトニクスの新戦略―原子1層の半導体から生じる光信号を偏光情報を保ったまま大幅に増強―研究者情報
研究者名 松田 一成京都大学 教育研究活動データベース
書誌情報
【DOI】https://doi.org/10.1021/acs.nanolett.6c00297
【書誌情報】
Shuto Oh, Mojtaba Karimi Habil, Hiroshi Sugimoto, Minoru Fujii, Kazunari Matsuda, Keisuke Shinokita (2026). Simultaneous Enhancement and Preservation of Valley-Polarized Second-Harmonic Generation in Monolayer WS₂ via Mie Resonances.Nano Letters.
京都大学 研究