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海洋研究開発機構 研究Discovery Saga
2026年3月26日

アミノ酸からシアン化水素を生成

―メタンに依存しない生命起源のシナリオを提示―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域環境学数物系科学化学生物学工学医歯薬学
【Sagaキーワード】
技術戦略/海洋/海洋科学/水溶液/初期地球/化学進化/アンモニア/遺伝情報/マンガン/シナリオ/メタン/RNA/アミノ酸
Press Releaseプレスリリース 2026.03.26 東京科学大学
理化学研究所
海洋研究開発機構

概要

東京科学大学、理化学研究所、海洋研究開発機構の共同研究チームは、アミノ酸からシアン化水素(HCN)を水中で直接つくる反応を見いだしました。 1953年のユーリー・ミラー実験※1 は、メタンを含む大気に雷を模した放電を行うことでHCNが生じ、そこからアミノ酸や核酸※2 の材料となる分子ができる可能性を示し、生命起源研究の出発点となりました。しかし最近の研究では、初期地球の大気にはメタンが微量だった可能性が指摘されています。そのため、原始地球でHCNがどのようにつくられたのかは、重要な課題として残っています。
そこで本研究では、地球に豊富に存在する38種類の鉱物を系統的に調べた結果、二酸化マンガン(MnO2)という鉱物がアミノ酸と反応してHCNを生み出すことが分かりました。この反応は、酸性からアルカリ性までの幅広い水溶液条件下で、温和な温度で進みます。また、複数のアミノ酸やペプチド※3 からもHCNができることが確認されました。
本成果は、メタンを含む大気を仮定しなくても、アンモニアから合成されるアミノ酸からHCNが生成し得たことを示しました。さらに、アミノ酸からHCNをつくる反応は現在の生命でも見られることから、生命誕生以前の化学反応と生物の代謝のつながりを示すものです。これらの知見は化学進化※4 を考えるうえで、新しい手がかりとなります。
本研究成果は、2026年3月26日(木)公開のProceedings of the National Academy of Sciences誌に掲載されました。


二酸化マンガンが促進するアミノ酸からシアン化水素の合成 用語解説 ※1
ユーリー・ミラー実験
1953年に行われた実験。原始地球の大気を再現し、雷を模した放電によってアミノ酸ができることを示した。 ※2
核酸
DNAやRNAのこと。遺伝情報を記録する分子。 ※3
ペプチド
アミノ酸がいくつかつながった分子。タンパク質のもとになる。 ※4
化学進化
生命が誕生する前に、単純な分子からより複雑な分子へと変化していった過程。
詳細は東京科学大学のサイトをご覧ください。 国立研究開発法人海洋研究開発機構
海洋科学技術戦略部 報道室 CONTACT