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京都大学 研究Discovery Saga
2026年3月25日

異なるカルコゲンどうしの「見えない」結合の観測に成功

―超カルコゲナイドの新しいレドックス活性―

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
レドックス制御の新たな理解につながるとともに、疾患予防研究や新規レドックス活性分子の開発への応用が期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
環境学数物系科学化学生物学総合理工工学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
セレン/磁気共鳴/分子構造/レドックス制御/カルコゲナイド/酸化還元/システイン/レドックス/グルタチオン/核磁気共鳴/創薬
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

村上一馬 農学研究科准教授、赤池孝章 東北大学国際卓越教授らの研究グループは、異なるカルコゲンどうしの不安定な結合を観測する新たな手法を開発しました。私たちの体では、酸化と還元のバランス(レドックス制御)が生命活動の維持に重要な役割を果たしています。レドックス制御には、システインの硫黄原子などが中心的な役割を担っています。近年、硫黄に加えてセレンやテルルなどのカルコゲン(Ch)が連なった分子群である「超カルコゲナイド」が注目されていますが、その構造を解析する手段は限られていました。本研究グループは、核磁気共鳴(NMR)装置を用いて、グルタチオンのトリカルコゲナイド(3つのカルコゲンを含む超カルコゲナイド)をNMRチューブ内でワンポット反応し、異なるカルコゲンどうしの不安定な結合をその場で観測することに成功しました。得られたトリカルコゲナイドはフェロトーシスを抑制するという新しいレドックス活性を示すことも明らかにしました。本研究の成果は、超カルコゲナイドの分子構造を詳細に解析することで、異なるカルコゲンの結合順序が設計通りに合成されていることを精密に確認した点にあります。今後、レドックス制御の新たな理解につながるとともに、疾患予防研究や新規レドックス活性分子の開発への応用が期待されます。
 本研究成果は、2026年3月15日に、国際学術誌「ACS Measurement Science Au」にオンライン掲載されました。
画像

研究概要図(イラスト:Kanon Tanaka)

研究者のコメント
「『見えない』とされてきたカルコゲンどうしの結合を、何とか直接捉えたいという思いから本研究は始まりました。試行錯誤の末、NMRチューブ内で反応を行うという方法にたどり着いたことが、研究の進展につながりました。本成果が、生命の酸化還元制御の理解を深め、将来の疾患予防や創薬につながることを期待しています。」

詳しい研究内容について

異なるカルコゲンどうしの「見えない」結合の観測に成功―超カルコゲナイドの新しいレドックス活性―

研究者情報

研究者名 村上 一馬
京都大学 教育研究活動データベース

関連部局

農学部・農学研究科