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筑波大学 研究Discovery Saga
2026年3月25日

高温環境下でトマト種子の発芽を強化するための有望な標的遺伝子を特定

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
暑さに強い品種を作るための新しいヒントになると期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
工学農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
持続可能/高温環境/持続可能な開発/エチレン/変異体/トマト/Hsp70/ホルモン/活性酸素/遺伝子
生物・環境


(Image by Mariana Serdynska/Shutterstock)

概要

発芽を調節するホルモンの働きを抑制する「SlIAA9」という遺伝子を欠損させたトマト変異体が、高温環境下でも高い発芽率と良好な苗の生育を維持することを確認するとともに、そのメカニズムを解明しました。この知見は、暑さに強い品種を作るための新しいヒントになると期待されます。
 トマトは、暑さが続くと種子はうまく芽を出せず、その後の成長も弱くなってしまいます。特に発芽の段階はとてもデリケートで、高温にさらされると休眠状態に近くなり、温度が下がってもなかなか発芽が進まないことがあります。本研究では、発芽を調節するホルモンの働きを抑制する「SlIAA9」という遺伝子に着目し、高温環境下において、この遺伝子が働かない2種類の変異体と、野生型のトマトについて、種子がどのように発芽するのかを詳しく観察しました。
 その結果、野生型のトマトは高温後に発芽率が大きく下がり、芽や根が短くなる、苗の形が崩れるなどの異常が見られました。一方、SlIAA9 が働かない変異体は、高温にさらされても発芽率がほとんど下がらず、苗の形の異常も少ないことが分かりました。また、変異体では、高温で増えやすい活性酸素を取り除く酵素や、細胞を守る「HSP70」などの遺伝子が強く働いていました。さらに、発芽を止める方向に働くABAというホルモンの反応が弱まり、発芽を助けるエチレンに関わる遺伝子がよく働くことも明らかになりました。こうした違いが、高温でも発芽しやすくなる理由だと考えられます。
 これらの知見は、暑さに強いトマト品種を作るための新しいヒントになります。SlIAA9 の働きを調整することで、さらに気温が高い環境でも安定して育つ作物作りに貢献できると期待されます。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学生命環境系
康 承源 准教授

国際農林水産業研究センター
星川 健 主任研究員

掲載論文

【題名】
SlIAA9 mutation enhances tomato seed resilience to heat stress
SlIAA9 変異はトマト種子において高温耐性を強化する)
【掲載誌】
Plant Physiology and Biochemistry
【DOI】
10.1016/j.plaphy.2026.111103

関連リンク

生命環境系