体内時計中枢の基本メカニズムを解明
医薬保健研究域医学系、教授 三枝 理博 MIEDA, Michihiro
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
視交叉上核/フィードバック/哺乳類/ペプチドホルモン/消化管/視床/アルギニン/視床下部/神経ネットワーク/膵臓/ホルモン/時計遺伝子/体内時計/日常生活/アミノ酸/イミン/血液/神経回路/神経細胞/腎臓/網膜/コミュニケーション/メタボリックシンドローム/遺伝子/概日リズム/自律神経/睡眠/睡眠障害
2026/3/18
概要
金沢大学医薬保健学総合研究科医学専攻博士課程 4 年の王墨涵、医薬保健研究域医学系の三枝理博教授らの研究グループは、体内時計中枢である視交叉上核の神経ネットワークが頑強な概日リズムを生み出すための基本メカニズムを解明しました。ヒトを含む哺乳類では、昼夜の変化に対応して、睡眠や行動、体温、ホルモン分泌などが約 24 時間の周期で調節されています。このような 1 日のリズムは概日(サーカディアン)リズムと呼ばれています。概日リズムを生み出す体内時計の中枢は、脳の視床下部にある視交叉上核に存在します。視交叉上核は多種・多数の神経細胞からなる神経ネットワークですが、どのようにして強く安定した概日リズムを生み出しているのか、その詳しい仕組みはこれまで十分に分かっていませんでした。
本研究では、視交叉上核の中で、バソプレシン(※1)を産生する神経細胞と血管作動性腸管ペプチド(※2)を産生する神経細胞が、互いに影響を及ぼし合うフィードバック回路を形成し、この細胞間のやり取りによって、約 24 時間周期の安定した概日リズムが生み出されていることが明らかになりました。
時差を伴う旅行や交代制勤務、概日リズム睡眠覚醒障害(※3)などにより体内時計が昼夜の変化と合わなくなると、日常生活にさまざまな支障が生じます。そのため、概日リズムがどのように作られているのかを理解することは、健康を維持するうえで非常に重要です。本研究の成果は、将来、睡眠障害や自律神経の乱れ、メタボリックシンドロームなど、体内時計の乱れに起因するさまざまな疾患や健康障害の予防・治療につながることが期待されます。
本研究成果は、2026 年 1 月 5 日に英国科学誌『Nature Communications』のオンライン版に掲載されました。
金沢大学 研究