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東北大学 研究Discovery Saga
2026年3月18日

細菌の建築学:べん毛の非対称な「鞘」が操るレプトスピラの 形と動きのメカニズムの解明

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
病原性にも深く関わる「形」と「動き」を同時に制御する新たな分子機構の解明は、細菌運動の理解に新しい視点を与えるとともに、将来的な感染症制御技術の開発につながる成果と期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域工学農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
危機管理/持続可能/持続可能な開発/結晶化/電子顕微鏡/電子顕微鏡法/分解能/病原性/クライオ電子顕微鏡/病原体/高分解能/糖鎖修飾/運動器/分子機構/生体分子/遺伝子/感染症/細菌
2026年3月18日 10:00

研究者情報

〇大学院工学研究科応用物理学専攻 准教授 中村修一
研究室ウェブサイト

発表のポイント

多くの細菌では、細胞の形を決める仕組みと運動の仕組みは別々ですが、らせん細菌(スピロヘータ)であるレプトスピラは、細胞内に存在するべん毛がその両方を担うという特異な性質を持っています。
本研究では、レプトスピラのべん毛が非対称に配置された鞘構造によって、適切な「湾曲」と「剛性」を獲得し、細胞形状の形成と力強いコルク抜きのような回転運動を両立させる仕組みを明らかにしました。
病原性にも深く関わる「形」と「動き」を同時に制御する新たな分子機構の解明は、細菌運動の理解に新しい視点を与えるとともに、将来的な感染症制御技術の開発につながる成果と期待されます。

発表概要

細菌の運動器官であるべん毛(注1)は、その構造と機能が菌種ごとに大きく異なります。国立健康危機管理研究機構(JIHS:ジース)国立感染症研究所 細菌第一部 小泉信夫 主任研究員らは、大阪大学 蛋白質研究所 川本晃大 准教授(国立研究開発法人 科学技術振興機構 さきがけ研究員兼任)、国立大学法人東北大学大学院工学研究科 中村修一 准教授らと、レプトスピラ症病原体であるスピロヘータ・レプトスピラがもつ特殊な「ペリプラズムべん毛」に着目し、被覆(鞘(さや))タンパク質群(注2)が協調してべん毛の形状と力学特性を制御する仕組みを解明しました。
遺伝子欠損株の解析とクライオ電子顕微鏡(注3)による高分解能構造解析から、べん毛の湾曲と剛性が異なる鞘タンパク質の役割分担と非対称配置によって生み出されることが分かりました。さらに、コアタンパク質FlaB1の特異的な糖鎖修飾が鞘タンパク質との結合を仲介し、べん毛の組立と機能に重要であることを示しました。本研究は、スピロヘータ特有の運動様式の分子基盤を明らかにするとともに、細菌べん毛の多様な進化戦略の理解や、レプトスピラの運動を標的とした新たな予防・治療戦略に知見を提供します。



非対称な「鞘」がレプトスピラのべん毛を湾曲させ、菌体を動かす

用語解説

注1 べん毛 多くの細菌がもつ運動器官。回転することで推進力を生み、液体中や宿主内での移動を可能にする。菌種によって構造や配置が大きく異なる。レプトスピラのべん毛は、中心のコア構造と、それを覆う鞘構造からなる。
注2 鞘(さや)タンパク質 英語のsheath proteinに対応する用語で、べん毛のコア構造を覆う役割をもつタンパク質。
注3 クライオ電子顕微鏡 試料を急速凍結した状態で観察する電子顕微鏡法。生体分子や細胞構造を、結晶化せずに高分解能で解析できる。

論文情報

雑誌名:The EMBO Journal
題 名:Asymmetric sheath coordination controls flagellar architecture and function in Leptospira spirochete
著者名:Akihiro Kawamoto*, Toshiki Kuribayashi, Masatomo Morita, Shuichi Nakamura*, Nobuo Koizumi*
*:責任著者
DOI:10.1038/s44318-026-00731-1

詳細(プレスリリース本文)

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科 応用物理学専攻
准教授 中村 修一
TEL: 022-795-7957
Email: shuichi.nakamura.e8@tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科 情報広報室
担当 沼澤みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr@grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)






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