[Top page] [日刊 研究最前線 知尋] [Discovery Saga総合案内] [大学別アーカイブス] [Discovery Saga会員のご案内] [産学連携のご案内] [会社概要] [お問い合わせ]

筑波大学 研究Discovery Saga
2026年3月17日

酸素存在下でも生育する光合成細菌の高効率エネルギー変換機構を解明

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
光合成の理解を深めるとともに、遺伝子改変によるバイオテクノロジー応用や、硫化水素を含む排水処理など環境インフラ維持への貢献につながると期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
環境学数物系科学生物学総合理工工学総合生物農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
光エネルギー/海洋/近赤外/太陽/タンパク質複合体/光合成/光合成細菌/電子伝達/太陽光/赤外光/持続可能/持続可能な開発/水処理/電子顕微鏡/排水処理/分解能/モデル生物/遺伝子改変/エネルギー変換/クライオ電子顕微鏡/バイオテクノロジー/近赤外光/膜タンパク質/硫化水素/遺伝子/細菌
生物・環境


概要

多くの光合成細菌にとって酸素は有害ですが、海洋性紅色非硫黄細菌は酸素存在下でも生育できます。この細菌において光合成を担うタンパク質複合体の構造をクライオ電子顕微鏡で観察したところ、新たな膜タンパク質を発見し、酸素存在下でも効率よくエネルギー変換できる仕組みの一端を解明しました。
 光合成細菌は光合成の際に酸素を発生しませんが、太陽光エネルギーを高効率で化学エネルギーへ変換する能力を持ちます。また、植物が利用しない近赤外光を利用でき、淡水や海水、温泉など多様な環境に適応しています。中でも海洋性紅色非硫黄細菌Rhodovulum sulfidophilum は、酸素存在下でも高い環境耐性を持つモデル生物です。しかし、その光捕集・エネルギー変換を担うタンパク質LH1-RC複合体が高効率な光合成を実現する仕組みは未解明でした。
 本研究では、クライオ電子顕微鏡を用い、1.8 Åという極めて高い分解能でLH1-RC複合体を解析し、未知の膜タンパク質protein-3hを同定しました。さらに、この膜タンパク質の近傍には、ヘム(鉄を中心に持つ環状分子)に結合していない孤立した鉄が存在することを明らかにし、この鉄が電子伝達の中継点として機能する可能性を示しました。これらの知見は、光合成の理解を深めるとともに、遺伝子改変によるバイオテクノロジー応用や、硫化水素を含む排水処理など環境インフラ維持への貢献につながると期待されます。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学計算科学研究センター
谷 一寿 教授

茨城大学学術研究院基礎自然科学野
大友 征宇 教授

神戸大学大学院農学研究科
木村 行宏 教授

名古屋大学大学院理学研究科
三野 広幸 准教授

沖縄科学技術大学院大学イメージングセクション
望月 俊昭 リーダー

掲載論文

【題名】
Structural insights into the photochemistry of the LH1-RC complex from the marine purple phototrophic bacteriumRhodovulum sulfidophilum
(海洋性紅色光合成細菌Rhodovulum sulfidophilum由来LH1-RC 複合体の構造学的知見)
【掲載誌】
Communications Biology
【DOI】
10.1038/s42003-026-09755-z

関連リンク

計算科学研究センター