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鹿児島大学 研究Discovery Saga
2026年3月13日

生きたまま組織を透明化できる試薬の開発

~正常機能を保持したまま透明化して神経細胞の活動を蛍光観察することに成功~

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
これまで困難だった組織深部における生体機能の計測を可能にし、神経科学や発生生物学など広く生命科学分野の発展に寄与することが期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
生物学工学総合生物農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
浸透圧/蛍光観察/持続可能/持続可能な開発/微細構造/神経活動/哺乳類/生体組織/発生生物学/細胞毒性/歯学/アルブミン/マウス/蛍光顕微鏡/血液/神経科学/神経細胞/非侵襲

[記事掲載日:26.03.13]



研究のポイント

●血液中に多く含まれるタンパク質、アルブミンを用いることで、哺乳類の生きた組織の透明化を実現しました。
●細胞外液のイオン組成をほとんど変えることなく、神経細胞の正常な機能を維持したまま、脳組織を透明化することができました。
●生きた動物の脳組織において、従来よりも深部まで蛍光顕微鏡観察が可能になりました。

発表概要

 哺乳類の生体組織の多くは不透明であり、光を使って組織の深部を観察することは困難です。死後にホルマリンなどで固定した組織標本については、近年、透明化試薬を使って透明化し、深部まで観察することが容易になりました。しかし、従来の透明化試薬は毒性や浸透圧が高く、細胞機能を維持することは困難でした。そのため、生きた哺乳類組織の透明化は実現していませんでした。
 本研究では、細胞の正常な機能を維持したまま、生きた組織の深部観察を可能にする透明化試薬「SeeDB-Live」を開発しました。九州大学大学院医学研究院の今井猛主幹教授、稲垣成矩助教、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科の玉川(中川)直助教、山梨大学らの研究グループは、生きた組織が不透明に見える主な原因が、細胞の内外で光が屈折・散乱し、まっすぐ進まないためであることを見出しました。そこで、細胞外液にタンパク質の一種であるアルブミンを加え、光の屈折・散乱を抑えることで、生きた組織を非侵襲的に透明化できることを示しました。アルブミンは、細胞外液のイオン組成をほとんど変えず、細胞毒性もありません。そのため、生体組織を透明化した状態で、組織中の細胞の正常な機能を蛍光顕微鏡観察することが初めて可能となりました。
 アルブミンを用いた透明化試薬SeeDB-Liveにより、取り出した脳組織や生きたマウスの脳を非侵襲的に透明化し、組織深部における微細構造や神経活動の観察が可能になりました。本成果は、これまで困難だった組織深部における生体機能の計測を可能にし、神経科学や発生生物学など広く生命科学分野の発展に寄与することが期待されます。
 本研究成果は、2026年3月12日(木)午後7時(日本時間)に米国の科学雑誌『Nature Methods』に掲載されました。
プレスリリース資料