
1型糖尿病の“見える”膵臓評価を可能に
―新規PET検査による膵β細胞量評価―
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | 発症後にインスリン注射を行うしか治療がないとされる1型糖尿病について、発症予防も含めた病気の早期診断や、β細胞量を回復させるような薬の開発、さらにはそれらの治療効果の見える化に役立つことが期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
この研究の主な対象者企業・研究者の方
公開日
概要
村上隆亮 医学研究科助教、榊健太郎 同研究生、矢部大介 同教授、中本裕士 同教授、稲垣暢也 名誉教授らの研究グループは、1型糖尿病で減少する膵臓のβ細胞(インスリンを作る細胞)を体外から可視化する新たなPET/CT検査を開発し、その有用性を検証しました。1型糖尿病ではβ細胞が減っていくことが病気の進み方や血糖値の管理に影響しますが、体の中のβ細胞の量を直接確かめることは難しく、これまでは血液検査などの間接的な方法に頼ってきました。本研究では、1型糖尿病を持つ人を対象に、β細胞に発現するGLP-1受容体を目印にする新規PETプローブ([18F]FB(ePEG12)12-exendin-4)を用いてPET/CT検査を行い、撮影によって得られた画像の指標が、血糖の状態やインスリン注射の必要量と関係することを示しました。撮影時に重大な副作用は認められませんでした。この技術は、現行では、発症後にインスリン注射を行うしか治療がないとされる1型糖尿病について、発症予防も含めた病気の早期診断や、β細胞量を回復させるような薬の開発、さらにはそれらの治療効果の見える化に役立つことが期待されます。本研究成果は、2026年3月12日に、国際学術誌「Diabetes」にオンライン掲載されました。

研究者のコメント
「1型糖尿病をもつ人においては、『β細胞がどれくらい残っているか』を直接確かめることが難しく、病状を理解する手がかりが限られてきました。今回、画像でβ細胞を評価できる可能性を示せたことは大きな一歩です。今後、予防も含めた治療効果の見える化や革新的な治療開発につながるよう、取り組みを進めます。」(村上隆亮)
詳しい研究内容について
1型糖尿病の“見える”膵臓評価を可能に―新規PET検査による膵β細胞量評価―研究者情報
研究者名 村上 隆亮京都大学 教育研究活動データベース 研究者名 Kentaro Sakaki ORCID 研究者名 矢部 大介
京都大学 教育研究活動データベース 研究者名 中本 裕士
京都大学 教育研究活動データベース 研究者名 Nobuya Inagaki ORCID
書誌情報
【DOI】https://doi.org/10.2337/db25-1127
【書誌情報】
Kentaro Sakaki, Takaaki Murakami, Hayao Yoshida, Daisuke Otani, Kanae Kawai Miyake, Yoichi Shimizu, Hiroyuki Fujimoto, Daisuke Yabe, Yuji Nakamoto, Nobuya Inagaki (2026). Quantitative β-Cell Mass Imaging Redefines Disease Staging and Glycemic Control in Type 1 Diabetes.Diabetes.
京都大学 研究