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北海道大学 研究Discovery Saga
2026年3月12日

コラーゲンの質量分析による遺跡出土ワニ類の同定に成功

~ワニ類を対象とした初報告~(総合博物館教授 江田真毅)

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域生物学総合理工医歯薬学
【Sagaキーワード】
デルタ/新石器時代/質量分析/コラーゲン

2026年3月12日

発表のポイント

●骨中コラーゲンの質量分析による東アジアに生息する現生ワニ3種の識別基準を作成。
●中国・新石器時代の田螺山でんらさん遺跡から出土した骨をヨウスコウワニと特定。
●コラーゲンの質量分析によるワニ類の同定の有用性を明示。

発表概要

北海道大学大学院理学院博士後期課程の田中望羽氏と北海道大学総合博物館の江田真毅教授、小林快次教授らの研究グループは、骨中コラーゲンの質量分析による動物骨同定の手法(ZooMS)をワニ類に初めて適用し、形態からの識別が困難な遺跡から出土したワニ類の骨をヨウスコウワニと特定することに成功しました。
本研究では、まず東アジアに生息するワニ3種(ヨウスコウワニ・イリエワニ・マレーガビアル)を対象に骨中コラーゲンの質量分析を行いました。その結果、各種に特徴的なペプチドピークを見出し、3種の識別基準の作成に成功しました。次に、この基準を中国浙江省の長江デルタ地域に位置する田螺山でんらさん遺跡(約7,000~5,500年前)から出土したワニ類の骨8点に適用し、これらの骨がヨウスコウワニに由来することを明らかにしました。現在、田螺山遺跡周辺の長江下流域にワニ類は生息していません。一方で過去には気温がより温暖な時期があったため、かつてはこの地域にヨウスコウワニのほか、イリエワニ、絶滅種Hanyusuchus sinensis(マレーガビアルとインドガビアルに近縁とされ、約3,000年前に生息が確認されている)といった3種のワニ類がいた可能性がありました。
本研究は、ワニ類でも骨中コラーゲンの質量分析で種を特定できることを示した点で重要です。今後、本研究で明らかになった識別基準を用いて遺跡から出土したワニ類の骨の種が特定されることで、東アジアにおけるワニ類の生息域と古代中国における文化的利用がより詳細に明らかになると期待されます。
なお、本研究成果は、2026年2月19日(木)公開のJournal of Archaeological Science: Reports(考古学の専門誌)にオンライン掲載されました。
論文名:Identification of East Asian Crocodylian Collagen from the Tianluoshan Archaeological Site of China(中国田螺山考古遺跡における東アジアワニ類のコラーゲンによる同定)
URL:https://doi.org/10.1016/j.jasrep.2026.105642
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ヨウスコウワニ
(札幌市円山動物園にて撮影)