経口投与で体内時計を「進める」新化合物を発見
―時差ぼけや概日リズム障害の治療に新たな光―
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
TEI/二量体/視交叉上核/モーター/半導体/哺乳類/ゲノム編集技術/転写抑制/プロモーター/概日時計/ホルモン/時計遺伝子/体内時計/ゲノム編集/歯学/イミン/マウス/転写因子/転写制御/ゲノム/遺伝子/概日リズム/睡眠/生体リズム
Research NEWS
名誉教授
程 肇TEI, Hajime
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2026/3/6
概要
「朝起きるのがつらい」「海外旅行の時差ぼけを早く治したい」—そんな願いを叶える鍵は、私たちの細胞にある『時計遺伝子(※1)』が握っています。金沢大学の程 肇名誉教授(元・旧三菱化学生命科学研究所主任研究員)、大阪大学大学院歯学研究科・ゲノム編集技術開発ユニットの高畑佳史准教授、豊橋技術科学大学次世代半導体・センサ科学研究所の沼野利佳教授、東京科学大学生命理工学院生命理工学系の瓜生耕一郎准教授らを含む共同研究グループは、哺乳類の概日時計遺伝子Period1(Per1)を特異的に誘導する化合物 Mic-628 を新たに発見しました。Mic-628 はマウスへの経口投与のタイミングによらず、概日時計中枢である脳の視交叉上核と、肺などの全身の末梢組織の時計を同時に前進させ、行動リズムも常に前進させることができます。分子レベルでは、Mic-628 が転写抑制因子 CRY1 タンパク質と直接結合し、転写因子 CLOCK-BMAL1 タンパク質を含む CLOCK-BMAL1- CRY1-Mic-628 複合体の形成を促進します。この複合体が、Per1 遺伝子転写のスイッチである「二重 E-box(※2)配列」に作用して、Per1 の転写を特異的に活性化することが分かりました。さらに数理解析により、Mic-628 による安定した時計の前進作用の本質が、誘導された PER1 タンパク質自身による転写の「自己抑制機構」にあることを明らかにしました。
金沢大学 研究