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東北大学 研究Discovery Saga
2026年3月2日

次世代「ナトリウムイオン電池」の充電メカニズムを世界で初めて直接観測!

-- 中性子散乱を用いたマルチスケール観測で、ハードカーボンの謎を特定 --

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
希少金属であるリチウムに代わる安価で豊富な「ナトリウム」を用いた電池の性能向上が期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域数物系科学工学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
陽子ビーム/パルス/高エネルギー/中性子散乱/物質科学/陽子/J-PARC/パルス中性子/ミュオン/加速器/素粒子/中性子/検出器/素粒子物理/持続可能/持続可能な開発/電池/カーボン/ナノサイズ/マイクロ/マルチスケール/リチウム/金属材料/原子力/黒鉛/炭素材料/ナトリウム
2026年2月27日 14:00

研究者情報

〇【研究当時】金属材料研究所 博士研究員 梅本好日古

発表のポイント

次世代電池の主役:希少金属であるリチウムに代わる安価で豊富な「ナトリウム」を用いた電池の性能向上が期待されます。
世界初の成果:「中性子」の力を使い、充電中に電池内部でナトリウムがどのように動くかを、100ナノ(1万分の1ミリ)からオングストローム(1000万分の1ミリ)までの幅広いスケールで同時に観察することに成功しました。
3段階のプロセス:ナトリウムが「表面に吸着」「層の間に入り」「ナノサイズの隙間を埋める」という3つのステップで蓄えられることを突き止めました。

発表概要

東北大学金属材料研究所 梅本 好日古 博士研究員(現 オークリッジ国立研究所 博士研究員)、総合科学研究機構(CROSS)中性子科学センター研究開発部 大石 一城 次長、河村 幸彦 技師、東京理科大学理学部第一部応用化学科 五十嵐 大輔 プロジェクト研究員、中本 康介 助教、駒場 慎一 教授、横浜国立大学大学院工学研究院 多々良 涼一 准教授、東京科学大学(Science Tokyo)総合研究院化学生命科学研究所LIN Che-an研究員、館山 佳尚 教授、日本原子力研究開発機構J-PARCセンター 廣井 孝介 研究副主幹、高田 慎一 研究副主幹、及び京都大学複合原子力科学研究所 南部 雄亮 特定教授の研究グループは、中性子を用いて、次世代の蓄電デバイスとして期待されるナトリウムイオン電池の負極材料「ハードカーボン(※1)」において、ナトリウムが負極に挿入されるプロセスを世界で初めてリアルタイムかつマルチスケールでの観測に成功しました。 本研究では、大強度陽子加速器施設(J-PARC)物質・生命科学実験施設(MLF)(※2)に設置された中性子小角・広角散乱装置「大観」(※3)を用い、電池を充放電させながら内部を観察する「オペランド測定」を実施しました。その結果、ナトリウムが炭素の「表面や欠陥部分」、「層間」や「ナノサイズの隙間」へ順番に挿入されていく3段階のメカニズムを特定することに成功しました。この成果は、資源制約のないナトリウムを用いた安価で高性能な次世代電池の開発に大きく貢献するものです。
この研究成果は、英国王立化学会が出版するChemical Scienceに2026年2月25日にオンライン掲載されました。



図1 中性子小角・広角散乱装置「大観」の外観と「大観」で観測されるマルチスケールの様子。

用語解説

※1:ハードカーボン
炭素材料の一つ。炭素原子が規則的に並んだ黒鉛に比べ、ハードカーボンは炭素の並びや結合の規則性が低く、ナトリウムイオンを挿入可能なため、大容量の負極材としてナトリウムイオン電池への適用が期待されています。
※2:大強度陽子加速器施設(J-PARC)物質・生命科学実験施設(MLF)
J-PARCは日本原子力研究開発機構(JAEA)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)が共同で茨城県東海村に建設し、運用している一大複合研究施設の総称です。その内の一施設であるMLFでは、加速した大強度の陽子ビームを炭素標的及び水銀標的に衝突させることで発生する大強度パルス中性子及びミュオンを用いて、物質科学、生命科学、素粒子物理学等の最先端の学術及び産業利用研究が行われています。
※3:中性子小角・広角散乱装置「大観」
J-PARC MLFに設置された中性子実験装置です。「大観」では、幅広い波長域の中性子を試料に入射し、散乱した中性子を主に4つの検出器バンクで観測することにより、オングストローム(1000万分の1ミリ)からマイクロメートル(1000分の1ミリ)までの空間スケールを広く観測することができます。

論文情報

タイトル:Multiscale Insights into Sodium Storage in Hard Carbon from Operando Small- and Wide-Angle Neutron Scattering Measurements
雑誌名:Chemical Science
著者:梅本 好日古1、大石 一城2、五十嵐 大輔3、多々良 涼一4、LIN Che-an5、中本 康介3、河村 幸彦2、廣井 孝介6、高田 慎一6、南部 雄亮1,7、館山 佳尚5、駒場 慎一3
所属:1東北大学金属材料研究所、2総合科学研究機構(CROSS)中性子科学センター、3東京理科大学理学部第一部、4横浜国立大学大学院工学研究院、5東京科学大学総合研究院化学生命科学研究所、6日本原子力研究開発機構J-PARCセンター、7京都大学複合原子力科学研究所
DOI:10.1039/d5sc09600f

詳細(プレスリリース本文)

問い合わせ先

(研究内容に関すること)
東北大学 金属材料研究所
博士研究員(研究当時) 梅本 好日古
E-mail:yoshihiko.umemoto.t6@alumni.tohoku.ac.jp/umemotoy@ornl.gov(*を@に置き換えてください)
TEL:022-215-2327
(報道に関すること)
東北大学 金属材料研究所 情報企画室広報班
E-mail:pro-adm.imr@grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
TEL:022-215-2144






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