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大阪公立大学 研究Discovery Saga
2026年2月27日

非接触でスマートなバイタルサイン測定方法を開発

~赤外線カメラ1台で体温・呼吸・心拍を同時に計測し感染症スクリーニングへ~

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学複合領域数物系科学工学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
生体情報/生体信号/心拍数/赤外線/持続可能/持続可能な開発/赤外線カメラ/センサー/二酸化炭素/非接触/ゆらぎ/心臓/日常生活/スクリーニング/ヘルスケア/感染症/在宅医療

2026年2月27日
研究推進機構
プレスリリース

発表者

大阪公立大学 健康科学イノベーションセンター 鈴木 崇士特任准教授

発表概要

本研究では、未来型住宅の実現を目指すプロジェクトの一環として、居住者に負担をかけずに生体信号を測る技術を追求し、1台の中波赤外線(MWIR)カメラで、人の体温・呼吸数・心拍数を非接触で同時に測定する方法を開発しました。これらの測定データを検証したところ、従来の測定機器によるデータとの相違が小さく、実用化に向けた有望な結果が得られました。
本研究成果は、2025年12月23日に国際学術誌「Sensors」にオンライン掲載されました。

発表のポイント

目頭付近の温度を体温の指標として測定するとともに、MWIRカメラの高精度な温度変化検出性能を活かし、その部位に生じる心臓の拍動由来の温度ゆらぎから心拍を推定。
二酸化炭素(CO2)がMWIRカメラの映像では周囲より暗く見える特徴を利用し、人の吐く息に含まれるCO2の流れから呼吸数を測定。
本研究の方法で計測したデータと、従来の測定機器によるデータとの相違が小さく、実用化に向けた有望な結果が得られた。




MWIRカメラを用いた非接触の生体情報測定
<研究者のコメント>
着想の原点は、某漫画に登場する“敵の呼吸中の二酸化炭素を探知するスタンド能力”でした。手元の赤外線カメラが中間赤外域であることに気づき、呼気の可視化に挑戦したところ成功し、実現への手応えを得ました。「体のサイン」を、カメラ1台で正確に読み取ることは簡単ではありませんでしたが、試行錯誤の末に形にできたことをうれしく思います。誰もが安心して暮らせる社会づくりに貢献したいと考えています。


鈴木特任准教授

研究の背景

今まで感染症のスクリーニングでは、赤外線カメラによる体温測定が中心でしたが、発熱しない感染者も多く、限界が指摘されてきました。一方で、呼吸や心拍の変化は体調異変の早期サインとして重要であり、非接触で複数の生体情報を同時に測る技術が求められています。
しかし、従来の方法は複数のセンサーを組み合わせる必要があり、設置が複雑で、測定できる角度や環境にも制約がありました。加えて、顔の正面から呼吸をとらえる技術は難しく、体温・呼吸数・心拍数を同時に評価する手法は確立されていませんでした。

研究の内容

本研究は、1台の中波赤外線(MWIR)カメラが持つ「二つの特性」を活かし、非接触で体温・呼吸数・心拍数を同時に測定する新しいアプローチに挑戦しました。まず、国際基準(ISO/TR 13154)に基づき、MWIRカメラで目頭(内眼角)付近の温度を測定し、体温の指標としました。MWIRカメラは3 μm~5 μmの赤外線を検出しますが、二酸化炭素(CO2)が約4.3 μmの波長を吸収するため、息に含まれるCO₂がカメラに映ると周囲より暗く見えます。この特徴を利用し、顔の正面から「息の流れ」を映し出し、呼吸の回数を数えました。さらに、映像から息の出る速さを読み取ることで、CO2の排出量を推定する新しい方法も提案しました。また、MWIRカメラは温度の変化を高精度に捉えられるため、心臓の拍動による目頭付近の温度ゆらぎから、心拍を推定しました。これらの測定データを検証したところ、体温・呼吸数・心拍数のいずれも、従来の測定機器によるデータと高い相関を示し、実用化に向けた有望な結果が得られました。

期待される効果・今後の展開


本研究は、1台のカメラで複数のバイタルを同時に測定できる世界初の手法で、感染症スクリーニングの精度向上に貢献します。この技術が実用化されれば、空港や病院、学校などでの感染症スクリーニングがより正確かつスムーズになり、また、非接触で測定できるため、介護現場や在宅医療でも役立つ可能性が考えられます。今後は、より多様な環境や年齢層での検証、動きのある状況での測定精度向上、装置の小型化などが課題となります。将来的には、日常生活の中で自然に健康状態を見守る「スマートヘルスケア」の基盤技術として発展することが期待されます。

資金情報

本研究は、大阪公立大学と株式会社飯田産業の共同研究部門「スマートライフサイエンスラボ」における研究成果です。

用語解説


※ 中波赤外線(MWIR)カメラ:3〜5μmの波長の赤外線を検出するカメラ。温度変化に対する感度が高く、CO₂の吸収帯を含むため、呼気の可視化に適している。

掲載誌情報

【発表雑誌】 Sensors
【論文名】 Noncontact Visualization of Respiration and Vital Sign Monitoring Using a Single Mid-Wave Infrared Thermal Camera: Preliminary Proof-of-Concept
【著者】 Takashi Suzuki
【掲載URL】https://doi.org/10.3390/s26010098

問い合わせ先

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学 健康科学イノベーションセンター
特任准教授 鈴木 崇士(すずき たかし)
E-mail:tszk[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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