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筑波大学 研究Discovery Saga
2026年2月26日

生物の目に着想を得たイベントカメラによる非接触の振動計測手法を開発

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学数物系科学工学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
情報学/位相幾何学/トポロジー/幾何学/データ解析/持続可能/持続可能な開発/レーザー/周波数/振動計測/非接触/分解能/空間分解能
テクノロジー・材料


概要

生物の目の仕組みから着想をえた「イベントカメラ」を用いた非接触の振動計測手法を開発しました。得られたデータを幾何学的に解析し、従来困難だった振動の再構成に成功しました。レーザー光などを使う従来法より手軽で安価に計測可能です。複数の音源を分離して同時に記録できることも確認しました。
 非接触での振動計測は、建物や橋などの構造物や飛行機、電車などの安全性を確認するために重要です。レーザー光を用いる手法もありますが、装置は高価で、計器の配置など計測のための準備作業が複雑です。安価な方法として、カメラを用いた振動計測が注目されています。普通のカメラは、一定の時間をかけて光をためてから画像を記録します。高速な振動を撮影するためには、光をためる時間を短くする必要がありますが、そうすると、取り込める光の量が少なくなります。このため、撮影には非常に明るい照明が必要となるだけでなく、高速撮影を成立させるために空間分解能を犠牲にせざるを得ないことが課題でした。
 本研究では、こうしたレーザー・カメラベースの課題を解決するために、イベントカメラという新しいカメラを用いた振動計測に取り組みました。イベントカメラは、生物の目が持つ、変化した情報だけを効率よく捉える情報処理の仕組みに着想を得ています。このような仕組みは、トンボの目に代表される昆虫の視覚にもみられるものです。明るさの変化を画素ごとに独立して捉えることで、高速な振動を、非常に明るい照明を用いずに計測できます。
 これまで、イベントカメラのみを用いた方法では、振動の周波数を計測することは可能でしたが、振幅や位相を正確に計測することは困難でした。そこで、本研究では、位相幾何学的データ解析という数学的手法を応用し、記録データから振動の軌跡を再構成することで、イベントカメラを用いて振幅・位相・周波数を高精度に計測することに成功しました。また、一つのカメラで複数の音源を同時に分離して記録できることも実証しました。

紹介動画

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

丹羽 遼吾 情報学学位プログラム(博士後期課程)2年次

筑波大学図書館情報メディア系
伏見 龍樹 助教

掲載論文

【題名】
Event Topology-based Visual Vibrometer
(イベントトポロジーに基づく視覚型振動計)
【掲載誌】
Applied Physics Letters
【DOI】
10.1063/5.0311647

関連リンク

情報学学位プログラム
図書館情報メディア系