AIが解き明かした脳の階層構造:機械学習により運動野から海馬へと洗練される情報処理プロセスを定量化
~『成功』と『失敗』の記憶は海馬で最も鮮明に刻まれる?~
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | 味覚にもとづいた報酬記憶がどのように行動へと変換されるかの全容解明や、脳の学習アルゴリズムを応用した新たなAI開発への貢献が期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
研究のポイント
〇「おいしい」や「甘い」といった味覚は生体にとって報酬としての意味を持ち、ある行動が報酬の獲得につながるかどうかは生存に不可欠な情報です。しかしながら、報酬の獲得の成否につながる情報が脳の中でどのように処理されているかは十分に明らかではありませんでした。〇サッカリン甘水を報酬として、左右の手を使い分ける課題を遂行中のラットの脳活動を記録し、得られた膨大なデータから行動の結果(成功・失敗)を予測する解析を行いました。
〇16種類のAI(機械学習)アルゴリズムを用いた結果、いずれのアルゴリズムでも高精度な予測に成功しました。さらに、運動野から海馬にかけて予測精度が段階的に上昇し、海馬において成功・失敗が最も鮮明に区別される「階層的洗練」を発見しました。
〇この結果は報酬に関する情報が脳内で階層的に処理され、エピソード記憶を司る海馬で極めて明快に「二値化」されることで、過去の経験が将来の適切な行動選択へと結びつく可能性を示唆しています。
研究概要
京都府立医科大学大学院医学研究科 細胞生理学 助教 相馬祥吾、同大学医学部医学科 三村由依、福島県立医科大学医学部 システム神経科学講座 助教 岡本真拓、東京科学大学大学院医歯学総合研究科 細胞生理学分野 教授 礒村宜和ら研究グループは、脳内の報酬に関わる情報が、運動野から海馬に至る経路でどのように洗練されていくかをAI技術を駆使して解明しました。本研究成果は、科学雑誌『eNeuro』に2026年1月27日付けで掲載されました。 本研究は、最新の機械学習(デコーディング解析)を用いることで、これまで定量的評価が困難だった脳領域間の「情報の鮮明さ」の違いを浮き彫りにしました。本研究成果をもとに、今後は味覚にもとづいた報酬記憶がどのように行動へと変換されるかの全容解明や、脳の学習アルゴリズムを応用した新たなAI開発への貢献が期待されます。論文情報
掲載媒体名 eNeuro発表媒体 オンライン速報版
雑誌の発行元国 米国
オンライン閲覧 可
URLhttps://doi.org/10.1523/ENEURO.0256-25.2026
掲載日 2026年1月27日 論文タイトル(英・日)
英語:Hierarchical distribution of reward representation in the cortical and hippocampal regions
(日本語:皮質および海馬領域における報酬表現の階層的分布) 代表著者
京都府立医科大学大学院医学研究科 細胞生理学相馬祥吾 共同著者
福島県立医科大学医学部 システム神経科学岡本真拓
京都府立医科大学医学部医学科三村由依 東京科学大学大学院医歯学総合研究科 細胞生理学分野 礒村宣和
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京都府立医科大学 研究