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東北大学 研究Discovery Saga
2026年2月19日

室温で高感度センシングを実現 新規「ベルト状VO₂(B)単結晶」ガスセンサー材料を創製

─実験と理論計算でVO₂(B)の高度機能性の本質を解明─

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
低消費電力・高性能センサーデバイスの実現により、環境モニタリング、産業安全、健康管理など多岐にわたる分野での応用が期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
環境学数物系科学化学総合理工工学農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
環境モニタリング/揮発性有機化合物/物質科学/反応場/電子線/材料科学/ファイバー/バナジウム/前駆体/DFT/選択性/持続可能/還元反応/持続可能な開発/ガスセンサー/ナノシート/ナノファイバー/ナノワイヤ/金属ナノ粒子/磁性材料/単結晶/電池/エタノール/センサー/センシング/ナノ材料/ナノ粒子/モニタリング/金属イオン/金属酸化物/酸化物/低消費電力/添加剤/電荷移動/密度汎関数理論/有機物/SEM/機能性/表面構造/結晶性/健康管理
2026年2月19日 11:00

研究者情報

〇多元物質科学研究所 教授 殷澍
研究室ウェブサイト

発表のポイント

一次元の五酸化バナジウム(V2O5)ナノファイバーを出発材料として、水熱還元法(注1により、ベルト状VO2(B)単結晶の合成に成功しました。
合成したVO2(B) 結晶は、合成前と比べて、揮発性有機化合物(VOC)の一種であるエタノールの検出感度が、室温で約19倍向上すると共に、他のガスに対する選択性も飛躍的に高まりました。
密度汎関数理論(DFT)計算により、VO2(B)の特異な表面構造がエタノール分子を強く吸着させ、効率的な電荷移動を促進することが、この性能向上の要因であることを初めて明らかにしました。
低消費電力・高性能センサーデバイスの実現により、環境モニタリング、産業安全、健康管理など多岐にわたる分野での応用が期待されます。

発表概要

低消費電力・高性能ガスセンサーの実現には、室温で揮発性有機化合物(VOC)を高感度・高選択的に検出する新材料の開発が不可欠です。
東北大学多元物質科学研究所の殷澍教授(同材料科学高等研究所(WPI-AIMR)連携教授 兼務)、北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)サスティナブルイノベーション研究領域の本郷研太准教授、大阪大学産業科学研究所の関野徹教授、北京科技大学 材料科学と工程学院の曹文斌教授、台北科技大学材料資源工程系の邱德威教授らを中心とする国際共同研究グループは、一次元V2O5ナノファイバーを原材料として、水熱還元法により、配向したベルト状VO2(B)単結晶の合成に成功しました。合成したVO2(B)材料は、合成前のナノファイバー状V2O5材料と比べて、室温におけるエタノールガスへの応答が約19倍に向上し、優れた選択性を示すことを確認しました。この卓越した性能の起源を解明するため行ったDFT計算の結果、VO2(B)はV2O5よりもエタノール分子をはるかに強く吸着し、より多くの電荷移動を引き起こすことが分かり、実験で観測された感度向上を理論的に裏付けるメカニズムを明らかにしました。
本研究成果は、室温動作が可能な次世代低消費電力ガスセンサーの実現に向けた、新たな材料とその設計指針を提供するものです。
本成果は、2026年2月16日(現地時間)に、国際科学誌ACS Sensorsのオンライン版に掲載されました。



図1. V2O5ナノファイバーとVO2(B)のXRDパターン(a,b)、SEMイメージ(c,d)と電子線回析SEADパターン(e,f)

用語解説

注1.水熱還元法:材料合成手法である「水熱法」の応用の一つです。密閉容器(オートクレーブ)内で水を高温・高圧状態にすることで、通常の条件では得られない特異な反応場を創出します。この環境下で、金属塩や金属酸化物などの前駆体と、有機物などの還元剤を反応させると、還元剤から金属イオンへ電子が供与され、還元反応が進行します。その結果、金属ナノ粒子や特定の低酸化状態を持つ金属酸化物といった、粒径が均一で結晶性の高い機能性ナノ材料を合成することができます。反応温度、時間、pH、添加剤を調整することで、粒子のサイズや形状(ナノ粒子、ナノワイヤ、ナノシートなど)を精密に制御できる点が大きな特徴です。このため、触媒、電池電極材料、磁性材料、バイオメディカル材料など、幅広い先端分野における高性能材料の作製に、重要な手法として利用されています。

論文情報

タイトル:Superior Room-Temperature Gas Sensing Performance of Belt-like VO2 (B) over 1D V2O5 Nanofibers
著者: Qiuyu Cheng, Lei Miao, Peng Song, Qiuyu Jin, Ayahisa Okawa, Takuya Hasegawa, Kenta Hongo, Fu Tang, Wenbin Cao, Te-Wei Chiu, Tohru Sekino, Shu Yin*
*責任著者:東北大学多元物質科学研究所 教授 殷澍
(同大学 材料科学高等研究所(WPI-AIMR)連携教授 兼務)
掲載誌:ACS Sensors
DOI:10.1021/acssensors.5c03743

詳細(プレスリリース本文)

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学 多元物質科学研究所
教授 殷 澍(イン シュウ)
TEL:022-217-5597
Email: yin.shu.b5*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学 多元物質科学研究所 広報情報室
TEL: 022-217-5198
Email: press.tagen*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)






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