うつ病診断と脳機能結合の潜在的な関係構造が明らかに
―機械学習を用いた大規模データ分析による新たな知見―
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | うつ病を特定の脳ネットワークの問題ではなく複数の主要な脳ネットワークにまたがる違いとして捉える新たな手がかりを提供しており、将来的な研究の進展に役立つことが期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
2026年02月18日
研究・産学連携
概要
千葉大学子どものこころの発達教育研究センターの佐々木翼特任研究員および平野好幸教授は、健常者とうつ病患者を対象とした大規模脳画像データを解析し、脳の複数領域にまたがる機能的結合の関係構造を統計モデルにより解析しました。変数間の関係の全体像を捉えるベイジアンネットワーク注1)解析(変数間の関係を有向非巡回グラフ(DAG)注2)で表現する統計モデル)を用いた結果、医師によって診断された「うつ病の有無」が「内省」「注意」「感情調節」に関わる複数の安静時脳機能結合注3)パターンと、他の要因を考慮してもなお残る条件付き依存関係が確認されました。本研究は、うつ病を特定の脳ネットワークの問題ではなく複数の主要な脳ネットワークにまたがる違いとして捉える新たな手がかりを提供しており、将来的な研究の進展に役立つことが期待されます。本研究成果は、2026年1月15日(現地時間)に国際学術誌 Neuroscience Informatics に掲載されました。
■用語解説
注1)ベイジアンネットワーク:複数の変数間の関係を確率的なネットワーク構造として表現する統計モデル。本研究では、変数同士の条件付き依存関係を探索するために用いた。
注2)有向非巡回グラフ(DAG:Directed Acyclic Graph):変数同士の関係を矢印で表したグラフで、矢印が循環しない構造を指す。本研究では、複数の臨床情報と脳機能結合パターンのあいだに、他の要因を考慮したうえでも残る関係(条件付き依存関係)がどのような形で現れるかを整理・可視化するために用いた。
注3)安静時脳機能結合:脳が特定の課題を行っていない安静時において、離れた脳領域同士の活動がどの程度同期しているかを示す指標。
■論文情報
タイトル:A study on the potential relationship between the diagnosis and functional connectivity in the brain in major depressive disorder
著者:Tsubasa Sasaki、Yoshiyuki Hirano
雑誌名:Neuroscience Informatics
DOI:10.1016/j.neuri.2026.100258

PLS(Partial Least Squares:部分的最小二乗法)とは、たくさんのデータを「意味のあるまとめ役」に圧縮する方法である。つまり、非常に多くの脳のつながり方の情報を「症状や診断と関係の深い変化パターン」にまとめる手法である。PLS_1は、脳指標と臨床指標のあいだで最も大きな対応関係を表すパターンを指す。右図はうつ病と診断される状態を仮定したときに、PLS_1がどのように変化すると推定されるかを表す。
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千葉大学 研究