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埼玉大学 研究Discovery Saga
2026年2月18日

熱電性能を単一試料で直接評価

―常識を覆す新測定パラダイム―(大学院理工学研究科 長谷川靖洋 准教授)

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
工学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
熱電変換材料/ボトルネック/評価手法/電気抵抗/電気伝導/熱電材料/熱電変換/電気伝導性/インピーダンス/性能評価/熱伝導/熱伝導率/エネルギー変換/SPECT

2026/2/18
プレスリリース全文はこちらからご覧ください。

発表のポイント

革新的な熱電材料(注1)を創出するためには、材料合成だけでなく、性能を迅速かつ信頼性高く評価できる手法の確立が不可欠です。本研究では、材料開発のスピードを制限してきた測定法のボトルネックを解消する、新たな評価手法を確立しました。
熱を電気に変える熱電変換材料の性能は、無次元性能指数zT(注2)と呼ばれる指標で評価されます。これまでは、この値を求めるために、材料の電気伝導性と熱伝導率(注3)を別々の測定で調べ、あとから組み合わせる必要がありました。本研究で確立した手法では、一つの試料を一つの測定系で調べることで、材料の熱電応答を一貫して評価できます。
国際学術誌Applied Physics Lettersに掲載され、Featured Article(注目論文)に選出されました。




図 従来の熱電性能評価手法と、本研究で確立した時間領域インピーダンス分光法(TDIS:Time-Domain Impedance Spectroscopy)(注4)による評価手法の概念比較。従来法では、ゼーベック係数・電気抵抗率・熱伝導率を別々の測定系、場合によっては異なる試料で測定し、無次元性能指数zT を計算によって求めていた。一方TDISでは、単一試料・単一測定系において熱と電気の応答を同時に捉えることで無次元性能指数zT を材料の応答として直接評価できる。

発表概要

埼玉大学大学院理工学研究科 佐藤仁薫 大学院生(博士前期課程2年)および長谷川靖洋 准教授の研究グループは、熱電変換材料の性能指標である無次元性能指数zT を、単一試料・単一測定系で一貫して評価できる新たな測定手法を確立しました。
本成果は、国際学術誌Applied Physics Letters に2026年2月17日に掲載され、Featured Article(注目論文)として選出されました。

論文情報

掲載誌 Applied Physics Letters
論文タイトル Observation of spatial distribution of dimensionless figure of merit in powder-sintered Bi2Te3-based bulk thermoelectric materials via time-domain impedance spectroscopy
著者 Hitoyuki Sato and Yasuhiro Hasegawa
DOI 10.1063/5.0313465
URL https://doi.org/10.1063/5.0313465

用語解説

注1.    熱電材料:温度差から電力を生み出す、または電力で冷却・加熱できる材料の総称。
注2.    無次元性能指数zT:熱電材料の性能を表す指標で、ゼーベック係数、電気抵抗率、熱伝導率から決まる。値が大きいほど、エネルギー変換効率が高い。市販のペルチェ式冷却機器に用いられている材料では、一般に1未満の値となる。
注3.    熱伝導率:材料がどれだけ熱を伝えやすいかを表す指標(単位:W/mK)。値が小さいほど熱が逃げにくく、熱電性能の向上に有利である。
注4.    時間領域インピーダンス分光法(TDIS:Time-Domain Impedance Spectroscopy):電気と熱の時間応答を同時に測定することで、熱電性能を構成物性の組み合わせではなく、材料の応答として直接評価する測定手法。
長谷川 靖洋|埼玉大学研究者総覧