第57回日本医学教育学会 若手研究賞(YIA: Young Investigator Award)(2025年7月受賞) Sharing experiences and discussing the future of Fukushima in radiation education at FMU
福島県立医科大学の放射線教育における、原発事故の経験・教訓の伝承と、将来の福島に係るディスカッション
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】

アミール 偉(あみーる・いさむ)
放射線健康管理学講座 助教
研究グループ
アミール偉、阿部暁樹、伊東尚美、各務竹康、長谷川有史、坂井晃、坪倉正治
今回の受賞について
日本医学教育学会
日本医学教育学会は、1969年(昭和44年)に設立され、医学教育に関する研究の充実・発展ならびにその成果の普及を目的としている学術団体です。大学教員・研修指導者など2,600名余の個人会員、82の医学部・医科大学をはじめとした238の機関会員、そして15組織の賛助会員によって構成されています。
賞について
若手研究賞(YIA: Young Investigator Award)は、優秀発表賞(Awards for Academic Excellence)の中で、40歳未満/卒後15年未満、かつ教授職でない研究者が発表した「特に優れた演題」に対して贈られる賞です。
概要
アミール氏は、2023年(令和5年)より、本学医学部3年生を対象とする「放射線生命医療学」の授業コーディネーターを務めており、本学における授業改善の一環として、2024年度(令和6年度)に本研究を実施しました。研究の目的は、2011年(平成23年)に発災した東日本大震災、それに伴う津波と東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、原発事故)を知らない世代が、今後本学の医学部へ入学するにあたり、放射線の基礎知識、原発事故後に医療現場が直面した状況や、福島県「県民健康調査」の結果(=経験・教訓)の伝承、また現在・今後の福島が直面する事象に関して、何を理解しどのような認識を持ってもらう必要があるかを、現在の授業構成を基に明らかにすることです。
具体的には、コース(全19回の授業)の開始前、コース終了直後、コースの終了から6ヶ月のタイミングで、放射線被ばくに伴う健康影響や、県民健康調査などの理解度、放射線に関する意識などに関するアンケートを実施しました。得られた結果を統計学的に解析したところ、コース終了直後だけでなく、終了から6ヶ月が経過した後であっても、放射線被ばくに伴う健康影響に関する学生の理解が、しっかりと維持されていることを明らかにしました。
また、コースを受講した学生のうち17名に対し、授業を通して得られたものや、印象に残った内容などについて、インタビューを実施しました。その音声を文字起こしした後、テーマ分析という手法を用いて解析を行いました。受講した学生からは、「授業を通して知識を得たことで、他者に『福島原発事故による直接的な放射線被ばくは、心配しなくて大丈夫』と、自信を持って言えるようになった」といった声や、「ALPS処理水や、放射線被ばくに係る不適切な論文など、現在も問題が続いていることを知れた」といった声がありました。この結果から、現在の授業内容において、学生は単に知識を理解するだけでなく、彼らの中で内容を受け止め、思考が新たに展開していることが明らかになりました。
今回の結果は、今後論文化する予定です。また、他大学の医学部における放射線教育との差異などを検証し、本学の特徴ある授業に改善していく方針です。 (アミール 偉)


写真左:座長の矢野晴美先生(国際医療福祉大学)より、若手研究賞(YIA)を受け取るアミール氏
写真右:表彰式終了後の記念写真(右:矢野先生、中:野村恭子先生(秋田大学)、左:アミール氏)
連絡先
公立大学法人福島県立医科大学 医学部 放射線健康管理学講座
電話:024-547-1891(内線:5401)
メールアドレス:iamir@fmu.ac.jp(スパムメール防止のため一部全角表記しています)
福島県立医科大学 研究