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九州大学 研究Discovery Saga
2026年2月16日

日本の住宅建設がもたらすCO2排出量を定量化

〜建設工法と建物階数の違いに着目〜 経済学研究院 加河 茂美 主幹教授

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
今後の住宅政策や住宅分野における脱炭素化の議論に役立つことを期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域工学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
サプライチェーン/エネルギー消費量/エネルギー消費/高層建築物/持続可能/住宅政策/鉄筋コンクリート造/木造住宅/CO2排出量/コンクリート/持続可能な開発/鉄筋コンクリート/セメント/ライフサイクル/二酸化炭素
2026.02.16 研究成果Humanities & Social SciencesEnvironment & Sustainability

発表のポイント

日本の住宅建設に伴うCO2排出量を、建設工法別・階数別に体系的に分析。
低層の木造住宅は、戸数の多さにより総CO2排出量への寄与が大きいことを確認。
中高層の鉄筋コンクリート造住宅は、1戸あたりのCO2排出量が高く、総CO2排出量に大きく寄与していることを確認。
住宅部門の脱炭素には中高層木造化と資材製造段階の脱炭素が不可欠。

発表概要

住宅・建築物に関連する経済活動は、日本のエネルギー消費量の約3割を占めており、日本政府は2030年におけるCO2排出量を2013年度比で58%削減するという目標を掲げています。
こうした背景のもと、九州大学大学院経済学府博士後期課程1年の永田あい大学院生、同大学院経済学研究院の加河茂美主幹教授、および椙山女学園大学の松嶋そら講師から成る研究グループは、日本の住宅建設におけるサプライチェーン全体を通じたCO2排出量(総CO2排出量)について、建設工法別および階数別に分析を行いました。
これまでの住宅分野のライフサイクル分析は、個別建材や特定工法に着目したものが中心であり、日本全体を対象に、建設工法と建物階数の違いを同時に比較した研究は限られていました。本研究では、環境拡張型産業連関モデルを用いることで、日本の住宅建設に関わるサプライチェーン全体を一貫して捉え、建設に伴う直接・間接のCO2排出量を推計しました。具体的には、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造の4つの建設工法別、ならびに建物の階数別に結果を整理し、住宅1戸あたりのCO2排出量と建設戸数の両面から評価を行いました。
分析の結果、低層の木造住宅は1戸あたりの住宅建設に伴うCO2排出量は比較的低いものの、建設戸数が多いため、総CO2排出量への寄与が大きいことが明らかになりました。一方で、中高層の鉄筋コンクリート造住宅は、建設戸数は少ないものの、1戸あたりの住宅建設に伴うCO2排出量が木造の約4倍と高く、総CO2排出量に大きく寄与していることが示されました。これらの結果は、日本の住宅分野の脱炭素化において、低層住宅での木材利用に加え、中高層建築物における木造化の推進や、鉄・セメント等の資材製造段階からの脱炭素化が不可欠であることを示唆しています。
本研究は、JST次世代研究者挑戦的研究プログラム(JPMJSP2136)の支援を受けて実施されました。本研究成果は、2026年2月2日(月)にEnergies(2024年インパクトファクター:3.2)に公開されました。
本研究グループからひとこと



住宅は私たちの生活に欠かせないものですが、その建設には多くの資材とエネルギーが必要です。本研究の結果が、今後の住宅政策や住宅分野における脱炭素化の議論に役立つことを期待しています。



図1.2015年における日本の住宅建設の工法別・階数別のCO2排出構造
図表解説
図1は、2015年における日本の住宅建設に伴うCO2排出量を、建設工法と建物の階数ごとに表したものです。 グラフの高さは住宅1戸あたりのCO2排出量を、横幅は建設戸数の多さを示しています。この図からは、低層の木造住宅は横幅が広く、建設戸数が多いことや、対照的に中高層の非木造住宅(鉄筋コンクリート造など)は棒が高く、1戸あたりのCO2排出量が大きいことが読み取れます。

論文情報

掲載誌:Energies
タイトル:Carbon Footprint Analysis of Residential Buildings in Japan
著者名:Ai Nagata, Sora Matsushima, Shigemi Kagawa
DOI:10.3390/en19030783
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