[Top page] [日刊 研究最前線 知尋] [Discovery Saga総合案内] [大学別アーカイブス] [Discovery Saga会員のご案内] [産学連携のご案内] [会社概要] [お問い合わせ]

京都大学 研究Discovery Saga
2026年1月23日

台風が新たな台風の発生を増やすとはいえない

―台風発生研究の常識を覆す―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
数物系科学生物学工学農学
【Sagaキーワード】
気象学/北西太平洋/数値シミュレーション/西太平洋/シミュレーション/大気現象
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

台風は、豪雨・暴風・高潮・高波など、様々な極端現象を引き起こし、大きな災害をもたらしうる大気現象です。そのため、どのようなきっかけで台風が発生するかを理解することは科学的にも社会的にも重要な課題です。
 北西太平洋における台風発生のきっかけは、通常、5つのタイプに分類されています。このうち、既に存在している台風が新しい台風のきっかけとなる「先行台風型」の台風発生が約10%を占めるというのが定説でした。
 しかし、伊藤耕介 防災研究所准教授と山内健司 琉球大学修士課程学生(研究当時)の研究グループは、多数の現実的な数値シミュレーションを行い、先行台風の存在が後発の台風の発生数にほとんど影響しないことを示しました。また、先行台風が新たな台風を発生させたように見えた事例のデータを解析すると、北西太平洋東部の低緯度側で台風発生に適した環境が整っていることが分かりました。これらの発見は、従来の台風発生研究の常識を覆すもので、既存の研究結果や現業活動の再検討が必要であることを意味するものです。
 本研究成果は、2026年1月21日に、国際学術誌「Journal of Geophysical Research: Atmospheres」に掲載されました。
画像


研究者のコメント
「先行台風が新しい台風を発生させるということは、台風研究者であれば、なかば『常識』のようなものでした。最初のうちは結果に自信が持てず、本当に正しいのか不安でしたが、解析が進み新たな事実が明らかになるにつれ、気持ちが徐々に確信へと変わっていきました。このような体験は我々にとっても貴重なものでした。この研究は、台風発生だけでなく、熱帯気象学にも新たな展開をもたらすものと確信しています。」

詳しい研究内容について

台風が新たな台風の発生を増やすとはいえない―台風発生研究の常識を覆す―

研究者情報

研究者名 伊藤 耕介
京都大学 教育研究活動データベース

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1029/2025JD044793

【書誌情報】
Kosuke Ito, Kenji Yamauchi (2026). Limited Influence of Pre-Existing Tropical Cyclones on Subsequent Cyclogenesis in the Western North Pacific.Journal of Geophysical Research: Atmospheres, 131, 2, e2025JD044793.

関連部局

防災研究所